令和2年版 消防白書

[石油コンビナート災害対策の課題]

1.石油コンビナートにおける災害対策の推進

(1)東日本大震災を踏まえた石油コンビナートの地震・津波対策

東日本大震災では、特別防災区域内において火災等の災害が発生し、また、屋外貯蔵タンクから流出した油が、貯蔵施設地区外や事業所敷地外へ拡大することを防ぐ堤である流出油等防止堤等の特定防災施設等に被害が生じたことから、特定事業者における地震・津波対策を推進していく必要がある。

(2)特定事業所における防災体制の充実強化

特定事業所における火災、漏えい等の事故の中には、大規模な爆発、火災の延焼等により、当該事業所の敷地外、さらには特別防災区域外にまで影響が及ぶ事案や、収束まで期間を要する事案が発生している。
このような状況を踏まえ、今後も引き続き特定事業所における事故防止体制と災害応急体制の充実強化に取り組む必要がある。
また、異常現象の通報については、通報までに時間を要している事案が見られることから、通報の迅速化について特定事業所に助言又は指導を行う必要がある。

(3)大容量泡放射システムの効果的な活用

大容量泡放射システムの取扱いには高い専門性が必要とされる。また、遠距離の搬送に時間を要することから、本システムを災害時に効果的に活用するには、広域共同防災組織等における防災訓練、特定事業者と都道府県を中心とした関係防災機関等が一体となった防災訓練を実施していく必要がある。

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