2.令和2年1月から令和2年10月までの主な風水害
令和2年1月から令和2年10月までの主な風水害による被害状況等については、第1-5-2表のとおりである。
なお、「令和2年7月豪雨」及び「台風第10号」による被害等の状況については、特集1に記載している。
第1-5-2表 令和2年1月から令和2年10月までの主な風水害による被害状況
(令和2年11月13日現在)

(備考)「消防庁とりまとめ報」により作成
(1)6月29日からの梅雨前線に伴う大雨による被害等の状況
6月29日から7月2日にかけて低気圧や低気圧からのびる前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ。
この影響により、全国的に雨となり、四国地方では多いところで日降水量が300ミリを超えた地域があったほか、局地的に猛烈な雨が降るなど、記録的な大雨となった。
消防庁では、6月29日15時00分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化するとともに、同日、各都道府県及び指定都市に対して「梅雨前線に伴う大雨についての警戒情報」を発出し、警戒を呼び掛けた。
なお、この大雨により、重傷者1人及び軽傷者3人の人的被害のほか、18棟の住家被害が発生した。
(2)低気圧及び前線に伴う大雨による被害等の状況
8月6日から7日にかけて台風第4号から変わった低気圧が日本海を東北東へ進み、北海道付近を通過した。また、7日から9日にかけて低気圧からのびる前線が北日本に停滞した。
この影響により、西日本から東北地方の日本海側を中心に雨となり、北海道宗谷地方や島根県隠岐、広島県では局地的に非常に激しい雨が降ったほか、中国地方では多いところで日降水量が200ミリ、北海道地方では多いところで日降水量が100ミリを超える大雨となった。
消防庁では、同月6日11時30分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化するとともに、同日、各都道府県及び指定都市に対して「低気圧と前線に伴う大雨についての警戒情報」を発出し、警戒を呼び掛けた。
なお、この大雨により、重傷者1人及び軽傷者3人の人的被害のほか、96棟の住家被害が発生した。
(3)台風第9号による被害等の状況
台風第9号は、8月31日から9月1日にかけて大型で非常に強い勢力で沖縄地方に接近した後、東シナ海を北上し、2日から3日にかけて大型で非常に強い勢力で九州北部地方に接近した。その後、3日に朝鮮半島に上陸し、同日15時に中国東北地区で温帯低気圧に変わった。
この台風の影響により、8月31日から9月2日までの総降水量が、沖縄本島地方では200ミリを超えたところがあったほか、沖縄県久米島町(久米島空港)では、最大風速40.7メートルの猛烈な風を観測した。
消防庁では、8月31日12時15分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化するとともに、同日、各都道府県及び指定都市に対して「台風第9号についての警戒情報」を発出し、警戒を呼び掛けた。
なお、この台風により、重傷者2人及び軽傷者32人の人的被害のほか、91棟の住家被害が発生した。
(4)台風第12号及び前線に伴う大雨による被害等の状況
台風第12号は、9月23日に伊豆諸島に接近した後、24日15時に関東の東で温帯低気圧となった。また、同日夜から25日にかけて、沖縄の南から日本の東にのびた前線上の低気圧が、西日本を通過して本州南岸を東へ進んだ。
この台風や前線、低気圧の影響により、西日本から東日本にかけて大雨となったところがあった。
消防庁では、同月23日9時15分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化するとともに、同日、各都道府県及び指定都市に対して「台風第12号についての警戒情報」を発出し、警戒を呼び掛けた。
なお、この台風による人的被害はなかったものの、34棟の住家被害が発生した。
(5)台風第14号及び前線に伴う大雨による被害等の状況
台風第14号は、10月7日から8日にかけて強い勢力で日本の南を北上し、9日には四国の南を北東に進んだ。台風は10日から11日にかけて勢力を弱めながら東海道沖を東へ進み、伊豆諸島に接近した後、進路を南よりに変えて、伊豆諸島から遠ざかり、12日9時に熱帯低気圧に変わった。また、台風の接近に伴い、東海道沖から伊豆諸島にのびる前線の活動が活発となった。
この前線や台風の影響により、同月7日から11日までの総雨量は、紀伊半島から東海地方にかけての太平洋側や伊豆諸島の多いところで400ミリを超えた。特に、東京都八丈島で700ミリを超えるなど、伊豆諸島南部では記録的な大雨となった。
この大雨に関し、気象庁は同月10日17時00分、東京都の三宅村と御蔵島村に大雨特別警報を発表し、最大級の警戒を呼び掛けた。
消防庁では、同月8日9時20分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化するとともに、同日、各都道府県及び指定都市に対して「台風第14号及び前線についての警戒情報」を発出し、警戒を呼び掛けた。
また、同月9日12時30分に消防庁長官を長とする消防庁災害対策本部に改組(第3次応急体制)して災害応急体制を強化した。
なお、この台風により、重傷者1人及び軽傷者2人の人的被害のほか、5棟の住家被害が発生した。