【コラム】女性消防吏員の採用拡大に向けた消防本部の取組
消防庁は「消防本部における女性消防吏員の更なる活躍に向けた取組の推進について」(平成27年7月29日付け消防消第149号消防庁次長通知)を発出し、各消防本部に対し、女性の採用の拡大に向けた積極的な取組等を要請している。
ここでは、女性消防吏員の採用拡大や働きやすい環境づくりにおける事例を紹介する。
島本町消防本部の事例(大阪府)
(1)消防本部の概要
○管轄区域:大阪府島本町
○吏員数:46人(うち女性1人)
※令和2年4月1日現在
同本部では、平成19年度に初めて女性消防吏員を採用し、その後退職され、0人の状態が続いていたが、平成31年4月に女性消防吏員1人を採用し、女性消防吏員「0」を解消した。
(2)事例の概要
女性専用施設については、昭和53年に建築されたままの老朽化したトイレのみであったことから、女性専用施設整備のための特別交付税措置を活用し、令和2年1月に女性専用施設(仮眠室、更衣室、休憩室、浴室、洗面室等)の改修が完了した。
改修するに当たり、近隣の消防本部の女性施設を利用している女性消防吏員の意見を参考にするとともに、内装や装備品の設計時には、採用された女性消防吏員も同席し、安心して消防業務に取り組める環境づくりへの理解を深めた。

松浦市消防本部の事例(長崎県)
(1)消防本部の概要
○管轄区域:長崎県松浦市
○吏員数:66人(うち女性2人)
※令和2年4月1日現在
(2)事例の概要
同本部は女性消防吏員を採用するため、女性専用施設を設置するとともに、女性でも安心して働ける職場をPRすることを目的として、女性限定のインターンシップを平成30年6月に開催した。
開催に際し、同本部には女性消防吏員が在職していないため、近隣消防本部から女性消防吏員2人の派遣をお願いし、女性が必要とされていることなど、経験を交えながら話してもらい、質問に答えてもらった。その後、訓練の展示、施設見学等を行った。
県内をはじめ九州各地から応募があり、参加した女性から消防の仕事を詳しく知ることができ、興味がわいたとの感想があり大盛況のイベントとなった。
これらのインターンシップやFacebookでの情報発信が功を奏し、令和元年度の女性受験者が前年の0人から5人となり、そのうち2人が採用された。
