令和2年版 消防白書

3.研究成果をより広く役立てるために

消防研究センターでは、研究開発によって得られた成果を、全国の消防職団員をはじめとする消防関係者はもとより、より広く利活用されるように次の活動を行っている。

(1)一般公開

毎年4月の「科学技術週間」にあわせて、消防研究センターを一般公開しており、この中で実験施設等の公開、展示や実演を通じ消防研究センターにおける研究開発等の紹介を行っている。令和2年度は4月17日に実施を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、開催中止とした。
なお、令和元年度は、スクラムフォースをはじめ、合計十数点の公開項目(実演及び展示)を設けた。

(2)全国消防技術者会議

全国の消防の技術者が消防防災の科学技術に関する調査研究、技術開発等の成果を発表するとともに、参加する他の発表者や聴講者と討論を行う場として、昭和28年(1953年)から「全国消防技術者会議」を毎年開催している。67回目となる令和元年度の会議は、令和元年11月21日及び22日の2日間、都内で開催した。
会議では、1日目に特別講演を、2日目に一般発表と「消防防災研究講演会」を開催する構成とし、併せて「2019年度消防防災科学技術賞」の表彰式及び受賞作品の発表を行った。

(3)消防防災研究講演会

消防研究センターの研究成果の発表及び消防関係者や消防防災分野の技術者や研究者との意見交換を行うため、平成9年度(1997年度)から「消防防災研究講演会」を開催している。この講演会では毎年特定のテーマを設けており、23回目となる令和元年度の講演会は「消防を支援する科学技術の向上を目指して ~消防研究センター研究成果報告~」をテーマとして、令和元年11月22日に全国消防技術者会議の中で開催した。

(4)調査技術会議

消防研究センターでは、消防本部が行った火災及び危険物流出等事故に関する調査事例や、最新の調査技術を互いに発表する「調査技術会議」を開催している。この会議は、調査技術や調査結果の行政反映方策に関する情報を共有して、消防本部の火災調査及び危険物流出等事故調査に関する実務能力を全国的に向上させることを目的としており、会議で発表された調査事例は、年度末に取りまとめて消防本部に配布し、情報共有を図っている。令和元年度は、東京、名古屋、仙台、札幌、大阪、福岡の6都市で開催し、火災事例発表が計30件、危険物流出等事故事例発表が計6件行われた。

(5)消防防災科学技術賞

消防防災科学技術の高度化と消防防災活動の活性化に資することを目的として、消防職団員や一般の方による消防防災機器等の開発・改良及び消防防災に関する研究成果のうち、特に優れたものを消防庁長官が表彰する制度を平成9年度(1997年度)から実施している。平成21年度から、従来の募集に加えて、優秀な原因調査事例についても表彰の対象として募集を行っている。
令和元年度は87作品の応募があり、選考委員会による選考の結果、24編の受賞作品(優秀賞22編、奨励賞2編)が決定され、11月21日の全国消防技術者会議の中で、表彰式及び受賞者による受賞作品の発表が行われた。

(6)施設見学

消防研究センターでは、消防職団員や市町村の防災担当者、小中高の児童・生徒や大学生、自治会・防火協議会の構成員等、多くの見学者に実験施設や研究成果等の見学を実施している。令和元年度は合計で42件1,481人の見学があった。

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