令和4年版 消防白書

2.科学技術及び産業経済の進展等を踏まえた安全対策の推進

科学技術及び産業経済の進展等に伴い、危険物行政を取り巻く環境は常に変化しており、新たな危険性物質の出現、危険物の流通形態の変化、危険物施設の多様化・複雑化、設備・機器の高経年化等への対応が求められている。
消防法上の危険物に指定されていないが、同様の火災危険性を有するおそれのある物質や火災予防又は消防活動に重大な支障を生ずるおそれのある物質(消防活動阻害物質)への対応を図るため検討会を毎年開催しており、新たな化学物質等について広く調査を行うとともに、火災危険性を有するおそれのある物質等を抽出して性状確認等を行っている。令和3年度における検討の結果を踏まえ、令和4年8月に、触媒や殺菌剤、農薬、染料及び洗剤の原料等に使用される「4―メチルベンゼンスルホン酸及びこれを含有する製剤(4―メチルベンゼンスルホン酸5%以下を含有するものを除く。)」を新たに消防活動阻害物質に加える省令改正を行い、これを貯蔵し、又は取り扱う際に、その旨を消防機関に届け出なければならないこととした。
また、近年、危険物施設は高経年化が進み、腐食・劣化等を原因とする事故件数が増加しており、AIやIoT等の最新技術を活用した効果的な予防保全の実現などが期待されていることから、これらの活用について柔軟な対応ができるよう調査検討を行っている(特集4の2(3)を参照)。
このほか、我が国において2050年カーボンニュートラル及び2030年度における温室効果ガスの46%排出削減の実現を目指していることを踏まえ、「リチウムイオン蓄電池に係る火災予防上の安全対策に関する検討会」を開催し、リチウムイオン蓄電池に係る消防法上の規制の合理化を検討している。