令和4年版 消防白書

3.第6回緊急消防援助隊全国合同訓練

阪神・淡路大震災等の教訓から平成7年に発足した緊急消防援助隊については、技術や連携活動能力の向上のため、全国を6つのブロックに区分して毎年実施する地域ブロック合同訓練に加え、概ね5年ごとに全国合同訓練を実施している。第1回の全国訓練は、平成7年11月に東京都江東区において、天皇陛下(現上皇陛下)の行幸を賜り、98消防本部、1,500人の隊員により行われた。その後、平成12年に東京都、平成17年に静岡県、平成22年に愛知県、和歌山県、徳島県、平成27年に千葉県で実施された。
第6回の全国合同訓練は、緊急消防援助隊の技術や連携活動能力向上に加え、令和2年度に改定した南海トラフ地震における緊急消防援助隊アクションプラン(平成28年3月29日消防広第69号。以下「南海トラフ地震アクションプラン」という。)において想定している、先発地震(半割れ)から後発地震が発生した場合の検証を目的とし、図上訓練を令和4年7月27日、実動訓練を11月12日、13日に実施した。なお、本訓練は、令和3年度に実施予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を考慮して訓練の実施を令和4年度に延期したものである。
令和4年7月27日の図上訓練では、19消防本部1,394人が参加し、南海トラフ地震アクションプランに基づく初動対応、早期の被害状況の把握、後発地震が発生した場合の緊急消防援助隊の適正配置等に関し、実効性の検証を消防庁、静岡県、和歌山県、高知県及び宮崎県で同時に実施した。
令和4年11月12日、13日の実動訓練では、335消防本部2,776人が参加し、地震等の発生により静岡県で甚大な被害が発生しているとの想定のもと、全国各地の応援部隊が、陸路での進出のほか、自衛隊輸送機や民間航空機、民間フェリー等を用いて行う様々な進出に関し、その実効性を検証した。
また、通常の訓練では連携することが困難な遠隔地の都道府県との連携、自衛隊や警察、海上保安庁、TEC-FORCE、DMAT等と連携した実践的な訓練としたことに加え、第4期緊急消防援助隊基本計画(平成31年3月8日消防広第1号)で新設したNBC災害即応部隊、土砂・風水害機動支援部隊、航空指揮支援隊等の運用の実効性の検証も行い、その強化を図った。
さらに、訓練が見学しやすいような施設設計、車両や資機材展示等の広報用ブースの設置、YouTubeによる配信を行うなど、広報にも主眼を置いて訓練を実施した。
消防庁では、今回の訓練で得られた教訓を踏まえ、被災地において緊急消防援助隊が迅速かつ的確に活動できるよう、さらなる能力の向上に努めることとしている。

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

【図上訓練】
消防庁
消防庁

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

静岡県庁
静岡県庁

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

【実動訓練】
中高層建築物倒壊救出訓練
中高層建築物倒壊救出訓練

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

土砂災害救出訓練
土砂災害救出訓練

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

複合建築物火災対応訓練
複合建築物火災対応訓練

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

津波漂流者救出訓練
津波漂流者救出訓練