令和4年版 消防白書

特集2 新型コロナウイルス感染症対策

1.新型コロナウイルス感染症の感染者数の推移と政府等の対応

(1)新型コロナウイルス感染症の感染者数の推移

国内における新型コロナウイルス感染症の発生状況については、令和2年1月15日に最初の感染者が確認された後、令和4年11月1日までに、合計2,236万872人の感染者が確認されている(令和4年11月1日時点、厚生労働省調査)。
令和3年7月からの感染拡大期以降における新規陽性者数は、令和3年9月以降、急速に減少したものの、12月下旬以降、再び増加傾向となった。令和4年1月には、新規陽性者数の急速な増加に伴い、療養者数と重症者数も増加傾向が見受けられた。
また、令和4年2月以降は、おおむね減少傾向であったが、6月下旬以降、再び増加傾向に転じた。7月中旬には、オミクロン株のBA.5系統への置き換わり等による新規陽性者数の急速な増加に伴い、新規陽性者数に占める重症者数や死亡者数の割合は従前の感染拡大時より低水準であったものの、療養者数や入院者数は大きく増加した。その後、新規陽性者数は8月下旬をピークに、減少傾向に転じたが、10月以降、再び増加傾向がみられる(特集2-1図)。
なお、本感染症による令和4年11月1日現在の累計死亡者数は4万6,711人である(令和4年11月1日時点、厚生労働省調査)。

特集2-1図 1週間ごとの新規感染者報告数(厚生労働省ホームページより引用)

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特集2-1図 1週間ごとの新規感染者報告数(厚生労働省ホームページより引用)

(2)近年の政府等の対応

令和4年における政府の対応としては、1月7日、感染状況や医療提供体制・公衆衛生体制に対する負荷の状況について分析・評価を行い、感染の再拡大を防止する必要性が高いこと等から、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、本特集において「特措法」という。) に基づき、新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置(以下「まん延防止等重点措置」という。)の実施に係る公示を行った。その後、3月21日をもってまん延防止等重点措置を終了する公示を行った。
また、令和4年7月下旬には、感染者の急増に伴い、診療・検査医療機関等の外来医療を中心に医療機関等への負荷が急速に高まったことを受け、一定以上の医療の負荷の増大が認められる都道府県が「BA.5対策強化宣言」を行い、住民及び事業者への協力要請又は呼びかけを実施する際に、当該都道府県を「BA.5対策強化地域」と位置付け、その取組を支援することとした。
ワクチン接種に関しては、令和3年12月から3回目接種を開始し、接種券の配布促進や接種会場の増設、職域接種の積極的な活用の推進等により、令和4年2月中旬には、1日100万回接種を実現した。2月下旬からは、5歳から11歳までの子どもに対する初回接種(1・2回目接種)を開始したほか、3月下旬からは、12歳から17歳までの者への3回目接種を開始した。5月下旬からは、60歳以上の者や18歳以上60歳未満の者で重症化リスクの高い者などを対象とし、重症化予防を目的として4回目接種を開始した。7月下旬には、4回目接種について、新たに18歳以上60歳未満の医療従事者等及び高齢者施設等の従事者が対象とされた。9月上旬には、5歳から11歳までの子どもに対する3回目接種を開始し、また、9月下旬には、初回接種(1・2回目接種)を完了した12歳以上の者を対象に、従来株とオミクロン株の2種類の成分を含むオミクロン株対応ワクチンの接種を開始し、秋以降の感染拡大に備え、ワクチン接種を加速化することとされた。10月下旬には、生後6か月から4歳までの乳幼児に対する初回接種(1~3回目接種)を開始した。
さらに、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症の発生及びまん延に備えるため、令和4年12月2日に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律」(以下、本特集において「感染症法等改正法」という。)が成立した。本改正法において、以下のとおり消防機関に関係する事項も定められている。
・都道府県は、感染症の発生の予防及びまん延の防止のための施策の実施に当たっての連携協力体制の整備を図るため、都道府県、保健所を設置する市又は特別区、消防機関等の関係機関により構成される都道府県連携協議会を組織すること
・厚生労働大臣が定める基本指針及び都道府県が定める予防計画において、「感染症の患者の移送のための体制の確保に関する事項」等を新たに定めるものとすること
・厚生労働大臣及び都道府県知事は、予防接種等を行うに際し、注射行為を行う医療関係者を確保することが困難であると認められる場合において、当該注射行為を行う者を確保することが特に必要であるときは、救急救命士等に対し、当該注射行為を行うよう要請することができ、これらの者が、当該要請に応じて注射行為を行うときは、注射行為を行うことを業とすることができること