[林野火災対策の課題]
令和3年2月の栃木県足利市における林野火災は、長期間の住民避難も行われた上で、鎮火まで23日を要し、焼損面積167haとなる大規模なものとなった。消防庁では、本火災への対応も踏まえ、令和3年度から「より効果的な林野火災の消火に関する検討会」を開催し、林野火災の予防及び消火活動について平成15年に通知した内容を改正した(令和4年7月25日付け通知)。
効果的な林野火災対策のため、出火防止対策の一層の徹底を図るとともに、当該通知を踏まえ、特に次の事項を引き続き積極的に進めていく必要がある。
〔1〕気象台から発せられる気象情報や火災気象通報を踏まえて、林野火災発生の可能性を勘案し、必要に応じて火災警報の効果的な発令を行う等、火気取扱いの注意喚起や制限を含めて適切に対応すること。
〔2〕林野火災を覚知した場合、早急に近隣の市町村に対して応援要請を行う等、林野火災の拡大防止を徹底すること。特に、ヘリコプターによる偵察及び空中消火を早期に実施するため、迅速な連絡及び派遣要請に努めるとともに、ヘリコプターによる空中消火と連携した地上の効果的な消火戦術の徹底を図ること。また、ヘリコプターの活動拠点の整備促進を図ること。なお、消防飛行艇による空中消火活動について検討したが、その消火能力の高さは認められるものの、導入経費、維持管理費等が多額である。
〔3〕林野火災状況の的確な把握、防御戦術の決定並びに効果的な部隊の運用、情報伝達及び消防水利の確保等を行うため、林野火災の特性及び消防活動上必要な事項を網羅した林野火災防御図を整備すること。
〔4〕防火水槽等消防水利の一層の整備を図ること。特に、林野と住宅地が近接し、住宅への延焼の危険性が認められる地域における整備を推進すること。
〔5〕周辺住宅地及び隣接市町村への延焼拡大防止を考慮した有効な情報連絡体制の整備を図るとともに、これを活用した総合的な訓練の実施に努めること。