2. 令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号に係る被害及び消防機関等の対応状況
(1)災害の概要
ア 気象の状況
令和5年6月1日から3日午前中にかけて、梅雨前線が本州付近に停滞した。前線に向かって台風第2号周辺の非常に暖かく湿った空気が流れ込んだため、2日には前線の活動が活発になった。西日本から東日本の太平洋側を中心に大雨となり、高知県、和歌山県、奈良県、三重県、愛知県及び静岡県では線状降水帯が発生した。1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降り、1時間降水量が観測史上1位の値を更新した地点があった。
また、降り始めからの雨量は東海地方で500ミリを超えたほか、四国地方、近畿地方及び関東地方でも400ミリを超え、平年の6月の月降水量の2倍を超えた地点があった。
イ 被害の状況
この記録的な大雨により、西日本から東日本の広い範囲で河川氾濫、浸水、崖崩れ等の被害が発生した。静岡県浜松市においては、崖崩れに住家が巻き込まれるなど、東海地方を中心に、死者6人、行方不明者2人、負傷者49人の人的被害が発生した。
また、住家被害については、埼玉県で4,054棟、和歌山県で3,147棟など、計1万276棟となっている(令和5年11月15日現在)。
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被害の状況
(和歌山県提供)
(2)政府の主な動き及び消防機関等の活動
ア 政府の主な動き
政府においては、6月1日15時30分に情報連絡室を設置するとともに、関係省庁災害警戒会議を開催し、自治体や国民に対し大雨への警戒を呼び掛けた。
その後、6月2日には関係省庁災害対策会議を開催し、既に判明した被害及び対応状況について関係省庁間の情報共有と今後の対応の確認を行うとともに、改めて自治体や国民に対し大雨への警戒を呼び掛けた。
イ 消防庁の対応
消防庁においては、6月1日15時30分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室(第1次応急体制)を設置し、情報収集体制の強化を図るとともに、都道府県及び指定都市に対し「梅雨前線による大雨及び台風第2号についての警戒情報」を同日発出し、災害対応に万全を期するよう呼び掛けた。その後、前線が日本付近に停滞し、広範囲に被害が発生することが予想されたため、翌2日にも警戒情報を発出し、大雨に対する更なる警戒を呼び掛けた。
ウ 被災自治体の対応
この大雨により、茨城県、埼玉県、岐阜県、静岡県、愛知県及び三重県の6県が災害対策本部を設置した。
また、被災市町村においては、住民に対し、大雨による家屋の浸水や土砂災害への警戒を促すとともに、順次避難指示等を発令し、早期の避難を呼び掛けた。
エ 消防機関の活動
(ア)消防本部
浸水等の被害を受けた地域を管轄する消防本部では多数の119番通報が入電し、直ちに救助・救急等の活動に当たった。
(イ)消防団
埼玉県、愛知県及び和歌山県内の市町村をはじめ、甚大な被害に見舞われた多くの市町村において、消防団は、危険箇所の巡視・警戒、早期避難の呼び掛け及び住民の避難誘導等を行ったほか、消防車両等による排水作業を実施した。
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消防団による排水作業の様子
(埼玉県吉川市提供)