2.火山災害対策の現況と課題
近年、富士山の市街地近くで新たな火口が発見され、想定される火口の範囲が拡大していることや、桜島での大規模噴火の可能性が指摘されていることなど、火山活動が活発化した際の備えが急務となっている。
このような状況に鑑み、噴火災害が発生する前の予防的な観点から活動火山対策の更なる強化を図るため、令和5年6月に活動火山対策特別措置法が改正され、以下の内容が盛り込まれた(令和6年4月1日施行)。
・避難確保計画の作成等に係る市町村長による援助等
・登山の期日、経路等の情報の提供を容易にするための配慮等
・火山現象の発生時における住民や登山者等への情報通信技術の活用等を通じた、迅速かつ的確な情報の伝達等
・火山現象に関し専門的な知識又は技術を有する人材の育成及び継続的な確保等
・文部科学省に火山調査研究推進本部(火山に関する観測、測量、調査及び研究を一元的に推進する特別の機関)を設置
・火山防災の日(8月26日)の制定
・最新の科学的知見等を勘案した、活動火山対策の在り方についての検討等
地方公共団体においては、これらの状況を踏まえ、より具体的な事象を想定した避難の在り方の検討や、噴石から登山者等の身の安全を確保するための安全な強度を持つ退避壕・退避舎等の整備が求められる。
こうした取組を支援できるよう、地方公共団体が行う退避壕・退避舎等の新設、改修に係る費用に対して「消防防災施設整備費補助金」や「緊急防災・減災事業債」による財政支援を実施しているほか、民間事業者が行う山小屋等を活用した退避施設の整備に係る費用についても、地方公共団体が補助する場合について、その補助額の一部を補助している。