令和5年版 消防白書

[国際協力・国際交流]

1.国際消防防災フォーラムの開催

近年アジア諸国では、経済発展・都市化が進む中、これまで以上に高度な消防防災体制の構築が必要とされている。このため、人命救助、消火及び火災予防の技術や制度に関しても、これらの国々からの我が国の国際協力への期待は大きい。
このことを踏まえ、消防庁では主にアジア圏内の国において、「国際消防防災フォーラム」(以下、本章において「フォーラム」という。)を開催しており、我が国の消防防災制度、技術等を広く紹介し、開催国の消防防災能力の向上に貢献している。フォーラムは、開催国で広く消防防災関係者を集めて開催され、その内容は開催国の状況を勘案して決められる。

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国際消防防災フォーラム(令和4年度 シンガポール)

 

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石川駐シンガポール大使によるオープニングスピーチ(令和4年度 シンガポール)

 

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消防庁によるプレゼンテーション(令和4年度 シンガポール)

 

また、フォーラムを我が国の消防防災インフラシステムの海外展開を推進する場としても活用すべく、会場では、消防防災製品を扱う日系企業が、プレゼンテーションや展示によって開催国の消防防災関係者に対して自社製品のPRを行っている。

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日系企業によるプレゼンテーション(令和4年度 シンガポール)

 

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展示ブースにおける日系企業の自社製品PR(令和4年度 シンガポール)

 

令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえ、オンライン形式により、これまでの主たるターゲットであったアジア圏内のみならず、欧州、北米、南米、アフリカ、オセアニア等まで広く参加を呼び掛け、約60か国から1,200人を超える参加登録を得て開催した。
令和4年度は、国交往来やイベント開催に関する各種制限の緩和状況に鑑み、対面形式に戻すとともに、従前のように特定の国を対象とせず、複数のASEAN諸国の消防防災関係者の参加を得て、我が国の消防防災制度や製品をより幅広く周知すべく「マルチ形式」にて、シンガポールで開催した。
初の試みであった「マルチ形式」でのフォーラムには、ASEAN諸国から7か国(カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ラオス)、約90人の消防防災関係者が、日本から、消防庁以外に、在シンガポール日本国大使館、自治体国際化協会(CLAIR)シンガポール事務所、JICA、そして、消防防災関連企業が参加し、全体で約130人の出席を得て開催された。1日半にわたる開催期間中、我が国の火災予防制度や消防団制度の説明、日系企業10社による製品紹介のほか、ASEAN参加国の消防防災に関する施策や我が国で実施された救助研修の活用事例、さらには、JICAの国際協力案件形成スキームといった様々なプレゼンテーションが行われた。

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我が国での研修の活用事例に関するフィリピンからのプレゼンテーション
(令和4年度 シンガポール)

 

令和5年度は、令和4年度のフォーラムの成果を生かしながら、特定の国とのより深い関係性を追求しやすい「バイ形式」にて、カンボジアで実施する予定である。

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