『暖房器具火災の真実』-高齢者の生活実態を踏まえた火災検証実験-(4分ビデオ)テキスト版
【プロローグ】

ナレーション:恐ろしい火災!毎年、火災による高齢者の死亡事故が数多く発生しています。
【日本火災学会会長 関澤愛教授(東京理科大学大学院 国際火災科学研究科)インタビュー】
関澤先生:火災による死者の6割以上が65歳以上の高齢者です。 高齢者の場合は、体力や判断力の不足、逃げようとしたけれども逃げ切れなかった、あるいは衣服に火が着く「着衣着火」などによって、多くの方が亡くなっています。 高齢者は、使い慣れたこんろとか、裸火型の暖房器具など、比較的火災危険の高い、古いタイプの器具を使い続ける傾向があります。 また、動くのがおっくうになり、自分の居場所の周りに多くのものを集めがちになります。 このように、高齢者は火災の発生しやすい、あるいは拡大しやすい環境に住んでいることが多いと言えます。
【実験1 高齢者住宅環境の再現実験(こたつからの発火)】

こたつからの発火で、火災に至るケースを想定した実験です。
洗濯物を中に入れて乾かそうとして、ヒーターに触れてしまい発火する様子を見ていきましょう。
スイッチを入れてから、およそ5分。うっすらと煙が上がってきました。
煙が出てきてから28分経過。洗濯物に着火したようです。
では、室内ではどのように拡がっていくのでしょうか?
着火しました。火災発生です。
着火から4分を経過する頃には、天井まで火の手が上がっています。
壁の開放されていない部屋の実験では、同様に着火から4分で、室内は煙で、視界が遮られています。
炎が天井に届いてから、約1分の間で火が部屋全体に回りました。「フラッシュオーバー現象」です。
火災は、私たちの想像をはるかに超えるスピードで進展することが確認できます。
【実験2 高齢者住宅環境の再現実験(電気ストーブから発火の場合)】

スイッチを入れてからしばらく、くすぶった状態が続き...、
23分経過すると、火の手が上がりました。
着火してから、室内では、どの様に火災が拡がるのでしょうか?
火が天井に達しました。
その後、一気に部屋中に火が回り、避難は非常に難しくなります。
5分経過。
ご覧のように、火の勢いは1分~2分の間で劇的に変化します。
【エピローグ】

【再び 関澤愛氏(東京理科大学教授)インタビュー】
関澤先生:高齢者は、暖房器具で多くの方が亡くなっています。 高齢者を火災から守るためには、火災そのものに遭遇しないようにすること... すなわち使っている器具を安全化して、高齢者の暮らしから火災危険を少しでも減らすことが大切です。
ナレーション:ますます、高齢化社会に向かう、我が国。 まずは家族や身近な人が、高齢者の住環境を、安全で快適に整えていくことで、火災事故に遭遇させないように、努めて行かねばならないのです。