[火災予防行政の現況]
1 住宅防火対策の現況
平成19年中の放火を除いた住宅(一般住宅、共同住宅及び併用住宅)火災の件数(1万6,177件)は、建物火災の件数(2万8,132件)の約6割、また、放火自殺者等を除く住宅火災による死者数(1,148人)は、建物火災による死者数(1,259人)の約9割となっており、過去10年間以上この傾向で推移している。
また、近年の主な建物用途別にみた火災100件当たりの死者数では、住居における死者数は、多数の者が利用する物品販売店舗、旅館・ホテルと比べても5倍程度の死者数となっており、最も多くなっている。
住宅火災による死者数はわずかに減少傾向にあるが、住宅火災による死者の半数以上が65歳以上の高齢者であることを考えると、今後の高齢化の進展とともに、さらに住宅火災による死者が増加するおそれがある。
消防庁では、平成3年に住宅防火対策推進に係る基本方針を策定、住宅防火対策推進協議会を設置し、住宅防火に係るポスター、パンフレットの作成・配布、住宅防火安心マークによる住宅用防災機器の普及の促進等の対策を推進してきた。平成13年には、過去10年間の実績を踏まえ、新たに「住宅防火基本方針」を定め、特に高齢者を対象とした住宅火災による被害及び死者の軽減を目指し、地域に密着した連携・協力体制の充実と対策の促進を図るため、関係行政機関、関係団体等と協力しながら住宅防火対策の更なる推進を図ってきた。
しかし、今後、住宅火災による死者の増加が予想されることから、平成16年6月に住宅に住宅用火災警報器等の住宅用防災機器の設置を義務付ける等を内容とする消防法の改正が行われ、平成18年6月1日施行された。
また、本改正に伴い、消防法施行令の改正(平成16年10月27日)、住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令の制定(平成16年11月26日)、火災予防条例(例)の改正(平成16年12月15日)及び住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令の制定(平成17年1月25日)が順次行われた。これにより、新築住宅については平成18年6月1日から、既存住宅については概ね平成20年6月から平成23年6月までの各市町村条例で定める日から住宅用火災警報器の設置が義務付けられ、これを受けて全国の消防本部では、消防団、婦人(女性)防火クラブ及び自主防災組織等と連携して、各種広報活動を展開しているところである。