平成20年版 消防白書

3 立入検査

消防機関は、火災予防のために必要があるときは、消防法第4条の規定により防火対象物に立ち入って検査を行っている。
平成19年度中に全国の消防機関が行った立入検査回数は、95万5,764回であり、火災予防上必要な指導を行っている(第1-1-25表)。 

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立入検査等により判明した防火対象物の防火管理上の不備や消防用設備等の未設置等については、消防長又は消防署長は、消防法第8条、第8条の2又は第17条の4の規定に基づき、当該防火対象物の所有者、管理者等に対し、防火管理者の選任、消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置等必要な措置を講じるべきことを命じることができる。また、火災の予防に危険であると認める場合には、消防法第5条、第5条の2又は第5条の3の規定に基づき、当該防火対象物の改修、移転、危険排除等の必要な措置や使用禁止、制限等を命じることができるとされており、これらの命令をした場合には、その旨を公示することとされている。
このように立入検査等を行った結果、消防法令違反を発見した場合、消防長又は消防署長は、警告等の改善指導及び命令等を行い、法令に適合したものとなるよう違反状態の是正に努めている(第1-1-26表、附属資料161718)。

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特に、特定違反対象物(床面積1,500m2以上の特定防火対象物及び地階を除く階数が11以上の非特定防火対象物のうち、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備又は自動火災報知設備がその設置義務部分の過半にわたって未設置の防火対象物をいう。以下同じ。)については、火災発生時における人命の危険性が大きい等、その違反の重大性を踏まえ、厳しく指導を行っているところであるが、平成20年3月31日現在においても未だ134件の対象物において消防法令違反が存在していることから、引き続き重点的な違反是正の徹底を図っていく必要がある(第1-1-27表)。

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