2 火災による死者の状況
平成19年中の「火災による死者数」は2,005人で、前年の2,067人に比べ62人(3.0%)減少しており、そのうち放火自殺者を除いた死者数は1,430人で、前年の1,475人に比べ45人(3.1%)減少している。
また、放火自殺者数は575人で、前年の592人に比べ17人(2.9%)減少している(第1-1-3図)。
(1)1日当たりの火災による死者数は5.5人
平成19年中の火災による1日当たりの死者数は5.5人で、前年の5.7人に比べ0.2人減少している(第1-1-2表)。
(2)火災による死者数は、人口10万人当たり1.58人
平成19年中の人口10万人当たりの火災による死者数は、全国平均で1.58人で、前年の1.63人に比べ0.05人減少している。
火災による死者の状況を都道府県別にみると、前年と同様に東京都が150人で最も多く、次いで愛知県が111人、大阪府が106人の順となっている。一方、死者が最も少ないのは、沖縄県で5人、次いで島根県、徳島県、佐賀県で10人の順となっている。これを人口10万人当たりの死者数で比較すると、最も多いのは秋田県で3.32人、最も少ないのは沖縄県で0.36人となっている(第1-1-8表)。
(3)火災による死者は冬季と就寝時間帯に多い
火災による死傷者発生状況を月別にみると、例年、火気を使用する機会が多い冬季から春先にかけて多くなっており、平成19年中も、1月から3月及び12月の死者数の平均は月に246.8人(年間の月平均は167.1人)に上っており、この4か月間に死者総数の49.2%に当たる987人の死者が発生している(第1-1-4図)。
平成19年中の時間帯別の火災による死者発生状況をみると、1時台が112人と最も多く、次いで2時台が106人となっている。就寝時間帯である22時から翌朝6時までの間の平均は98.1人(全時間帯の平均は1時間当たり80.0人)となっており、就寝時間帯に多くの死者が発生していることとなる(第1-1-5図)。
(4)死因は火傷が45.5%、一酸化炭素中毒・窒息が42.9%
平成19年中の火災による死因(放火自殺者を除く。)は、火傷が650人(45.5%)と最も多く、次いで一酸化炭素中毒・窒息が613人(42.9%)となっている(第1-1-9表)。
(5)逃げ遅れによる死者が56.6%
死亡に至った経過をみると、平成19年中の火災による死者数(放火自殺者を除く。)1,430人のうち、逃げ遅れが810人で56.6%を占めている。その中でも「発見が遅れ、気付いた時は火煙が回り、既に逃げ道がなかったと思われるもの(全く気付かなかった場合を含む。)」が303人と最も多く、火災による死者数(放火自殺者を除く。)の21.2%を占めている。
また、死亡に至った理由別では、「病気又は身体不自由によるもの」が192人(13.4%)、「熟睡によるもの」が157人(11.0%)となっている(第1-1-6図、附属資料11)。
(6)高齢者の死者が56.9%
火災による死者数(放火自殺者を除く。)を年齢別にみると、65歳以上の高齢者が814人(56.9%)を占めており、特に81歳以上が352人(24.6%)と極めて多くなっている(第1-1-7図、第1-1-9図)。
(7)建物火災による死者は、死者総数の74.9%
平成19年中の火災種別ごとの死傷者数をみると、建物火災による死者は1,502人と前年に比べ48人減少しており、死者総数に対する比率は74.9%と前年(75.0%)に比べ0.1ポイント減少している(第1-1-10表)。
(8)建物火災のうち、全焼による死者は856人
平成19年中の建物火災による死者1,502人について、建物焼損程度別の死者発生状況をみると、全焼の場合が856人(死者の出た火災1件当たり1.17人)で57.0%を占めている。また、半焼の場合が208人(同1.09人)で13.8%、部分焼の場合が322人(同1.08人)で21.4%、ぼやの場合が116人(同1.01人)で7.7%となっている(第1-1-8図、附属資料12)。
(9)放火自殺者は減少、死者総数の28.7%
平成19年中の放火自殺者は575人で前年(592人)より17人減少している。これは、死者総数(2,005人)の28.7%(前年28.6%)を占めている(第1-1-3図)。
放火自殺者を年齢別にみると、56歳から60歳が99人、51歳から55歳が72人、65歳から70歳が62人であり、これらの年齢で放火自殺者全体の40.5%を占めている(第1-1-9図)。