3 科学技術及び産業経済の進展等を踏まえた安全対策の推進
近年、科学技術及び産業経済の進展に伴い、危険物や指定可燃物と同様の性状を有していながらその潜在的危険性が認識されていない新規危険性物質の出現、危険物の流通形態の変容、危険物施設の大規模化、多様化、複雑化、新技術の開発など、危険物行政を取り巻く環境は大きく変ぼうしている。
こうした状況に的確に対応するため、新規危険性物質についての早期把握や必要に応じた危険物規制に関する技術基準の見直しを引き続き図るとともに、従来の消防や防災の観点からは想定されていなかった新しい危険要因を有する施設等について、幅広い視点から実態を把握し、それに応じた安全確保を図るための方策を検討していく必要がある(囲み記事「バイオマス燃料の安全性の確保について」参照)。
バイオマス燃料の安全性の確保について
温室効果ガスである二酸化炭素の排出を抑制する観点から、生物由来の有機性資源を用いたバイオマス燃料が世界的に注目を集めています。我が国においても、バイオマスの総合的な利活用を推進するため、具体的な行動計画からなる「バイオマス・ニッポン総合戦略」が平成14年12月27日に閣議決定され、関係省庁が連携して取組を進めています。
現在、バイオエタノールをガソリンに直接混合する「エタノール3%含有ガソリン(E3)」と、バイオエタノールをETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル:バイオエタノールと石油精製副産物との化合物)に変換してからガソリンに混合する「ETBE含有ガソリン」の2つのバイオマス燃料の導入・実用化が進められているところです。E3及びETBE含有ガソリンが安全かつ円滑に導入されるよう、消防庁では、平成19年度にこれらのバイオマス燃料の危険物施設における安全対策に関する検証実験等を行い、防火安全上必要な対策に関する検討を行いました。
同検討を踏まえ、平成20年3月にE3及びETBE含有ガソリンの取扱い上の安全対策に関する基準を示したところです。

地球温暖化対策の更なる推進のため、E3やETBE含有ガソリン以外のバイオマス燃料として、バイオディーゼル燃料(BDF)やバイオエタノールを高濃度で含有するガソリン(エタノール10%含有ガソリン(E10)等)の利活用が進むことも見込まれています。
消防庁では、これら新しい燃料の安全対策について引き続き調査検討を行うこととしています。