3 特定事業所における防災体制
(1)自衛防災組織等の現況
石油コンビナート等災害防止法では、特別防災区域に所在する特定事業者に対し、自衛防災組織の設置、防災資機材等の配備、防災管理者の選任及び防災規程の作成などを義務付けている。また、各特定事業所が一体となった防災体制を確立するよう、共同防災組織及び石油コンビナート等特別防災区域協議会(以下「区域協議会」という。)の設置について定めている。
平成20年4月1日現在、全事業所(720事業所)に自衛防災組織が置かれ、このほか74の共同防災組織、58の区域協議会が設置されている。これらの自衛防災組織及び共同防災組織には常時防災要員4,877人、大型化学消防車119台、大型高所放水車74台、泡原液搬送車147台、大型化学高所放水車89台、油回収船32隻等が配備されている。
さらに、特定事業所には、個別施設に対する防災設備のほかに、事業所全体としての防災対策の強化を図るため、施設の規模に応じて流出油等防止堤、消火用屋外給水施設及び非常通報設備を設置しなければならないこととされている。平成20年4月1日現在、流出油等防止堤が173事業所に、消火用屋外給水施設が530事業所に、非常通報設備が720の事業所にそれぞれ設置されている。
(2)自衛防災体制の充実
石油コンビナートにおける消防活動は、危険物等が大量に取り扱われていることや設備が複雑に入り組んでいることから困難な場合が多く、また大規模な災害となる可能性が高いことから、災害発生時には、自衛防災組織や共同防災組織による的確な消防活動を行うことが要求されるとともに、防災要員には広範な知識と技術が必要とされる。消防庁では、自衛防災組織等における防災活動、防災訓練及び防災教育のあり方について「自衛防災組織等のための防災活動の手引」、「防災要員教育訓練指針」等を示しており、引き続き自衛防災体制の充実を図ることとしている。