平成20年版 消防白書

1 避難勧告等の発令・伝達

(1)避難勧告等の判断・伝達マニュアルの作成

「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」を参考に、市町村において「避難準備(要援護者避難)情報」を地域防災計画に位置付けるほか、避難勧告等を発令する客観的な判断基準等を定めた避難勧告等の判断・伝達マニュアルの早急な整備が必要である。
なお、土砂災害については、各都道府県は土砂災害警戒情報の適切な運用に努め、各市町村は的確な避難勧告等の発令のため、専門家等の助言、土砂災害警戒情報等を活用するよう努める必要がある。
また、避難勧告等は、災害の状況及び地域の実情に応じ、効果的かつ確実な伝達手段を複合的に活用し、対象地域の住民に迅速かつ的確に伝達するとともに、早期自主避難の重要性について周知する必要がある。

(2)放送事業者との連携体制の整備

災害時における連絡方法、避難勧告等の連絡内容等について放送事業者とあらかじめ申し合わせるなど、放送事業者と連携した避難勧告等の伝達体制の確立が必要である。

(3)防災行政無線の整備

気象情報の的確な収集を行うため、緊急防災情報ネットワーク、各種の防災気象端末等の活用を図るとともに、他の防災機関等との連携を図り、休日・夜間も含め、防災関係機関相互間及び住民との間の情報収集・伝達体制の整備が必要である。このため、防災行政無線(同報系)の整備等を図る(第2章第9節参照)とともに、実際の災害時に有効に機能し得るよう、通信施設の整備点検が重要である。

(4)防災情報の連絡体制等

都道府県から市町村に対する避難勧告等に関する意思決定の助言、気象官署、河川管理者と市町村との間でのホットラインの構築、気象官署から都道府県への要員派遣等、国・都道府県・市町村間の連携強化・情報共有を図る体制を整備する必要がある。
また、市町村は住民等からの前兆現象、災害発生情報等の情報が収集できるよう、日ごろから通報先を住民等へ周知しておくとともに、雨量情報、土砂災害警戒情報等を住民へ的確に提供するよう体制の整備に努める必要がある。

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