平成20年版 消防白書

[震災対策の課題]

1 防災基盤の整備と耐震化の推進

阪神・淡路大震災においては、建築物の倒壊等による被害総数が約64万棟に及んだほか、交通網の寸断、ライフラインの機能停止など大規模な被害が発生し、住民の生命、身体及び財産を守る優れた都市環境の整備、地震に強いまちづくりが極めて重要であることが改めて認識された。
震災直後の平成7年7月には地震防災対策特別措置法が施行され、同法に基づきすべての都道府県は平成8年度から第1次及び第2次地震防災緊急事業五箇年計画を策定し、地域の防災機能の向上を目指して事業の推進を図ったが、これを実施する都道府県及び市町村における防災基盤の整備は計画どおりに進められなかった(達成率:第1次76.3%(平成8年度~平成12年度)、第2次70.8%(平成13年度~平成17年度))。 このため、議員立法により同法が一部改正され、平成18年度から22年度までを計画期間とする第3次地震防災緊急事業五箇年計画に基づく防災基盤の整備に向けた事業への積極的な取組が続けられている。
特に、消防庁では、大規模災害時において、避難所や災害対策の拠点となる公共施設等の耐震化について、平成25年度までに耐震化されていない施設の割合の半減を目指し、単独事業として行われる耐震改修事業に対し、地方債と地方交付税による財政支援を行っている。
また、新潟県中越地震で震度6弱以上を観測した地域において、4箇所の市町村役場が地震の揺れにより被害を受け、災害の初動対応に大きな支障を来したことを受け、消防庁において、耐震診断・改修工事の効果的な実施手法や事例を紹介する「防災拠点の耐震化促進資料(耐震化促進ナビ)」を作成し、すべての地方公共団体へ配布するとともに、消防庁ホームページにおいて公表している(URL:http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/taishin/index-j.html)。

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