2 地方公共団体における震災対策
地方公共団体においては、地域の実情に即した震災対策を推進するため、消防力の充実強化、地域防災計画(震災対策編)の策定・見直し、避難場所や避難路の整備、地域住民に対する防災知識の普及・啓発、津波対策、物資の備蓄、地震防災訓練等について積極的に取り組んでいる。
(1)地域防災計画(震災対策編)の作成状況
平成20年4月1日現在、すべての都道府県において、震災対策に関する事項を地域防災計画の中で、「震災対策編」として独立の項目を設けて定めている。
一方、市区町村においては、「震災対策編」として独立の項目を設けているものが1,317団体、「節」等を設けているものが290団体、「その他の災害等」として扱っているものが51団体となっている。
(2)震災時における相互応援協定等の締結状況
大規模な地震は、甚大な被害を広域にわたって及ぼすことが予想されることから、対策を迅速かつ的確に遂行するため、地方公共団体においては、地方公共団体相互間又はその他の公共機関等との間で、震災時における相互応援協定等を締結するなど、各種の応援協力体制がとられている(第1-6-4図、第1-6-5図)。


特に阪神・淡路大震災以降は、平成8年7月に全国知事会において全都道府県による応援協定が締結され、広域応援体制が全国レベルで整備されるとともに、各都道府県相互間においても協定が締結されている。
(3)避難場所・避難路の指定状況
市町村における避難場所は、平成20年4月1日現在で、70,469箇所が指定されている(第1-6-13表)。

また、避難路については、210団体が指定している。
(4)備蓄物資・備蓄倉庫等の状況
災害に備えて地方公共団体は、食料、飲料水等の生活必需品、医薬品及び応急対策や災害復旧に必要な防災資機材の確保を図るため、自ら公的備蓄を行うほか、民間事業者等と協定を結び、必要な物資の流通在庫を震災時に確保するための施策の実施に努めている(第1-6-14表)。

(5)震災対策施設等の整備事業
平成19年度において、震災対策施設等の整備促進のため、都道府県が実施した事業費は1,063億6,300万円、また、市区町村が実施した事業費は612億3,200万円である(第1-6-15表)。

(6)震災訓練・震災対策啓発事業の実施状況
平成19年度においては、42都道府県と872市区町村が総合防災訓練を実施した(第1-6-16表、第1-6-17表)。


(7)津波対策の実施状況
大規模な地震が発生した場合、沿岸地域では津波の発生が予想されることから、地方公共団体においては各種の津波対策が進められている。
平成20年4月1日現在、海岸線を有する市区町村は659団体であり、その中で過去の地震の記録や海岸の地形等を踏まえ、津波予想危険地域を定めている団体が417団体、地域防災計画へ記載している団体が393団体、津波災害を想定した避難地は7,647箇所が定められている。
また、緊急時に住民が迅速・的確に行動する必要があることから、津波を想定した訓練が219団体で実施されている。