平成20年版 消防白書

3 消防力の充実強化

(1)消防力の充実強化

地域の第一線において消防活動を行う消防職員については、今後とも地域の実情に即して人員配置を行うとともに、資機材の充実、機動力の強化に努め、さらに教育訓練を充実していく必要がある。
また、大規模災害時において効果的に消防防災ヘリコプターを活用する等活動体制を強化するため、関係機関が連携し、臨時離着陸場等の整備、確保に努めることが重要である。

(2)消防水利の多様化

大規模地震発生時には、地震動による配水管の破損、水道施設の機能喪失等により消火栓の使用不能状態が想定され、消火活動に大きな支障を生ずることが予測されるため、消防水利を整備するに当たっては、消防水利の基準等に基づく計画的な整備を進めるとともに、平成20年4月1日現在、全国で、約8万3,000基を整備してきた耐震性貯水槽についても、継続して整備を推進していく必要がある。
消防庁では、国庫補助等による耐震性貯水槽の整備をかねてより進めているところであるが、多数の消防隊による長時間に及ぶ消火活動に対応する大容量の水源を確保するため、平成18年度からは、1,500m3型耐震性貯水槽についても国庫補助対象に追加するなど一層の整備促進を図っている。

(3)震災対策のための消防用施設等の整備の強化

地震防災対策強化地域における防災施設等の整備や地震防災緊急事業五箇年計画に基づく防災施設等の整備については、国の財政上の特例措置が講じられている。また、地方単独事業についても地方債と地方交付税の措置により地方公共団体の財政負担の軽減が図られてきた。大規模地震発生後における防災活動が迅速かつ的確に行われ震災被害を最小限に抑えるためには、今後とも中・長期的な整備目標等に基づき、より一層の消防防災施設等の整備促進を図っていくことが必要である。

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