平成20年版 消防白書

4 情報通信体制の充実

(1)情報通信体制の充実

災害応急対策を迅速かつ円滑に実施するためには、被害情報を迅速かつ的確に収集・伝達するとともに、これらの情報を分析した結果に基づく対応を現場へ迅速かつ的確に伝達することが重要であり、被害想定システム等の活用や高所監視カメラ、ヘリコプターテレビ電送システム等の整備を進めていく必要がある。
平成16年10月に発生した新潟県中越地震では、初動期の情報収集の際にNTT回線も防災行政無線もつながらず、山間部の一部で情報孤立地域が発生するなど、他の無線系の活用や非常用電源の整備等、非常時の通信確保について課題を残した。このことから、消防庁では、「初動時における被災地情報収集のあり方検討会」を開催し、大規模災害発生の際の初動時における被災地情報収集のあり方や災害時の情報通信技術の活用について検討を行い、平成17年7月、政府及び地方公共団体等に提言を行った。

(2)震度情報ネットワークの整備

阪神・淡路大震災後、地方公共団体ごとに整備された震度情報ネットワークにより震度情報を早期に収集しているところであるが、平成17年7月23日の千葉県北西部を震源とする地震や同年8月16日の宮城県沖を震源とする地震において震度情報の送信が遅延するなどの障害が発生し、早急な改善が望まれた。このことから、消防庁では、平成16~17年度に、「次世代震度情報ネットワークのあり方検討会」を開催し、近年の地震学の知見や通信環境の著しい進化を踏まえ、今後整備・更新される震度計と震度情報ネットワークに求められる機能、震度計の適正配置など次世代の震度情報ネットワークのあり方に関する検討を行い、平成18年3月国及び地方公共団体に提言を行ったところである。

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