平成20年版 消防白書

6 広域応援体制の整備

震災時の広域応援は、被災地における救援・救護及び災害応急・復旧対策並びに復興対策に係る人的・物的支援、施設や業務の提携等が迅速かつ効率的に実施される必要があることから、今後も各地方公共団体は広域応援協定の締結・見直しを更に推進し、防災関連計画において広域応援に関する事項を明らかにしておく必要がある。
特に、東海地震、東南海・南海地震等被害の及ぶ範囲が極めて広いと想定される大規模地震については、被害想定の結果に基づき、現行の広域応援協定のあり方を含む広域応援体制の見直し・充実を図る必要がある。
平成16年(2004年)新潟県中越地震においては、災害時相互応援協定に基づく救援活動が物資の供給と職員応援の両面から行われ成果を上げたが、初動期においては必ずしもスムーズに機能せず、応援側地方公共団体からは、必要とされる物資や業務をできるだけ早く被災地方公共団体から教えて欲しいという声が聞かれた。消防庁においても、地方公共団体の緊急物資等の備蓄・調達のあり方に関する検討を行い、災害時における広域対応等について地方公共団体に提言を行ったところである。
さらに、平成18年12月から「緊急物資調達の調整体制・方法に関する検討会」を開催し、地方公共団体が被災者に供給する物資である緊急物資の取扱いについて、物流という観点から検討を行い、地方公共団体に提言を行ったところである。
また、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、大規模災害発生時における人命救助活動等を効果的かつ迅速なものとするために発足した緊急消防援助隊については、東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震等の切迫性が高まり、NBCテロ(核(Nuclear)物質、生物(Biological)剤及び化学(Chemical)剤を用いたテロ)災害の発生等も懸念されることから、平成15年度の消防組織法の一部改正により法定化され、平成16年4月から消防庁長官による出動指示が、平成20年8月から都道府県知事による県内移動の指示が可能となるなど、その充実・強化が図られている。

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