平成20年版 消防白書

第7節 原子力災害対策

[原子力災害等の現況と最近の動向]

1 東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所3号機所内変圧器火災

平成19年7月16日10時13分頃、新潟県中越沖地震(最大震度:震度6強)が発生し、それに伴い東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所3号機所内変圧器から出火した。
出火原因については、3号機所内変圧器の絶縁油が地震の影響により漏えいし、その絶縁油に電気配線のショートによる火花が着火したものと推定される。
この火災による人的被害はなく、また、原子炉建屋など他の施設への延焼もなく、外部環境への放射能の影響もなかった。

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この火災に対する自衛消防の不備に加え、柏崎市内が震度6強の揺れに見舞われたことに伴い、119番通報が殺到し電話がつながりにくい状態となり、消防機関への通報が遅れたこと等により適切な応急対応が講じられなかったことは、原子力発電所等における大規模地震時の応急対応に様々な課題があるという警鐘を鳴らすこととなった。
消防庁では、この火災の教訓を踏まえて、経済産業省原子力安全・保安院と連携して原子力発電所等の自衛消防体制について検討するとともに、「原子力施設における消防活動対策マニュアル」(平成13年3月作成)の見直しを行い、新たに「原子力施設における消防活動対策マニュアル-地震対策編-」(平成20年2月作成)をとりまとめるなど、大規模地震時に原子力発電所等において火災等が発生した場合の消防体制の強化を図っている。

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