平成20年版 消防白書

[ガス災害対策]

1 ガスによる災害の現況と最近の動向

(1)事故の発生件数

平成19年中に発生した都市ガス及び液化石油ガスの漏えい事故又は爆発・火災事故のうち消防機関が出場したもの(以下「ガス事故」という。)の総件数は、1,119件(対前年比57件増)である。これをガスの種別ごとにみると、都市ガスに係るものが686件(同80件増)、液化石油ガスに係るものが433件(同23件減)となっている(第1-8-2図)。

h20935.gif

ガス事故を態様別にみると、漏えい事故が全体の80%、爆発・火災事故が同20%であり、ガスの種別ごとにみると、都市ガス事故の89.2%が漏えい事故、同10.8%が爆発・火災事故、液化石油ガス事故の65.4%が漏えい事故、同34.6%が爆発・火災事故となっている(第1-8-2図)。

事故を発生場所別にみると、消費先におけるものがガス事故の73.3%、ガス導管等消費先以外におけるものが同26.7%となっている(第1-8-3図)。

h20936.gif

消費先において発生した事故を発生原因別にみると、コックの誤操作・火の立ち消え等、消費者に係る場合が51.6%、ガス事業者・工事業者に係る場合が同14.9%となっている。ガスの種別ごとにみると、都市ガス事故の53.4%が消費者に係る場合、同11.2%がガス事業者・工事業者に係る場合となっており、液化石油ガス事故の49.5%が消費者に係る場合、同19.1%がガス事業者・工事業者に係る場合となっている。

(2)ガス事故による死傷者数

平成19年中に発生したガス事故(自損行為によるものを含む。) による死者数は13人 (対前年比6人増)、負傷者数は199人(同15人増)である。死者は、都市ガスによるものが7人(対前年比3人増)、液化石油ガスによるものが6人(同3人増)となっている。負傷者は、都市ガスによるものが71人(対前年比23人増)、液化石油ガスによるものが128人(同8人減)となっている。
死傷者を事故の態様別にみると、死者数では漏えい事故が爆発・火災事故を上回り、負傷者数は爆発・火災事故によるものが67.8%となっている(第1-8-4図)。

h20937.gif

(3)自損行為によるガス事故

平成19年中に発生したガス事故のうち、自損行為に起因する事故はガス事故全体の5.2%に当たる53件で、これらの事故による死者数は7人(死者全体の53.8%、前年同数)、負傷者数は60人(負傷者全体の30.2%、前年比10人増)となっている。
自損行為に起因する事故は、漏えい事故にとどまったものは43件(対前年比6件減)、爆発・火災事故にまで至ったものが15件(同6件減)となっている。

関連リンク

はじめに
はじめに 昭和23年3月7日に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする我が国の自治体消防制度が誕生してから、本年で60周年を迎えました。これを記念して、本年3月7日の消防記念日には、自治体消防制度60周年記念式典を開催し、我が国における消防の発展を回顧するとともに国民から消防に課せられた使命の重...
1 地域総合防災力の強化の必要性
特集 地域総合防災力の強化~消防と住民が連携した活動の重要性~ 1 地域総合防災力の強化の必要性 (1)切迫する大規模災害 我が国では平成20年度も、岩手・宮城内陸地震や相次ぐ水害など、全国各地で大規模な自然災害による被害が発生している。 集中豪雨が頻発していることや、東海地震、東南海・南海地震、首...
2 地域防災の中核的存在である消防団の充実強化
2 地域防災の中核的存在である消防団の充実強化 (1)消防団の役割~連携のつなぎ役~ 地域総合防災力の強化を考える上では、以下の点から消防団の役割が極めて重要となる。 第一に、消防団は「自らの地域は自らで守る」という精神に基づき、住民の自発的な参加により組織された住民に身近な存在であるという点である...
3 自主防災組織などの活動
3 自主防災組織などの活動 (1)自主防災組織 防災体制の強化については、公的な防災関係機関による体制整備が必要であることはいうまでもないが、地域住民が連帯し、地域ぐるみの防災体制を確立することも重要である。 特に、大規模災害時には、電話が不通となり、道路、橋りょう等は損壊し、電気、ガス、水道等のラ...