平成20年版 消防白書

3 防災知識の普及啓発

平成20年においても記録的大雨が各地で観測されており、また一方で、東海地震や東南海・南海地震、首都直下地震といった大規模地震の発生が予想されているところであり、被害を最小限に食い止めるためには、国、地方公共団体が一体となって防災対策を推進するとともに、国民一人ひとりが、出火防止、初期消火、避難、救助、応急救護などの防災に関する知識や技術を身に付け、日ごろから家庭での水、食料等の備蓄、家具の転倒防止等の自主防災を心がけることが極めて重要である。また、防災のための講習会や防災訓練に積極的に参加し、地域ぐるみ、事業所ぐるみの防災体制を確立していく必要がある。
このため、政府は、8月30日から9月5日までを「防災週間」(9月1日を「防災の日」)、1月15日から21日までを「防災とボランティア週間」(1月17日を「防災とボランティアの日」)と定めて、国民の防災意識の高揚を図っている。とりわけ、「防災週間」では大規模防災訓練等を中心として行事が行われ、「防災とボランティア週間」では、全国各地で防災写真展や防災講習会、消火・救助等の防災訓練等の事業が実施されている。
このほか、消防庁においては、年間を通じ、テレビ放送等により、防災知識の普及啓発を行うとともに、地方公共団体では、防火教室の開催、自主防災組織の育成などを通じて、住民、事業所等に対する防災知識の普及啓発に努めている。
また、平成16年度から平成18年度にかけて全国の地方公共団体などの協力を得て、各地に残されている災害にまつわる資料や情報を収集し「災害伝承情報データベース」を構築した。このデータベースはインターネットを通じて消防庁のホームページから閲覧が可能であり、防災意識の高揚や、防災教育用の教材としての活用が図られることが期待される。
さらに、平成19年度に地方公共団体において実施される一般向けの防災研修を支援することを目的として、講師となる地方公共団体職員向けの「防災研修カリキュラム・講師支援教材」をとりまとめた。受講者の興味を引きやすく、理解を促すための基本的なカリキュラムについて例示するとともに、研修に活用することを想定した教材、資料作成に活用できる写真素材などを掲載している。

関連リンク

はじめに
はじめに 昭和23年3月7日に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする我が国の自治体消防制度が誕生してから、本年で60周年を迎えました。これを記念して、本年3月7日の消防記念日には、自治体消防制度60周年記念式典を開催し、我が国における消防の発展を回顧するとともに国民から消防に課せられた使命の重...
1 地域総合防災力の強化の必要性
特集 地域総合防災力の強化~消防と住民が連携した活動の重要性~ 1 地域総合防災力の強化の必要性 (1)切迫する大規模災害 我が国では平成20年度も、岩手・宮城内陸地震や相次ぐ水害など、全国各地で大規模な自然災害による被害が発生している。 集中豪雨が頻発していることや、東海地震、東南海・南海地震、首...
2 地域防災の中核的存在である消防団の充実強化
2 地域防災の中核的存在である消防団の充実強化 (1)消防団の役割~連携のつなぎ役~ 地域総合防災力の強化を考える上では、以下の点から消防団の役割が極めて重要となる。 第一に、消防団は「自らの地域は自らで守る」という精神に基づき、住民の自発的な参加により組織された住民に身近な存在であるという点である...
3 自主防災組織などの活動
3 自主防災組織などの活動 (1)自主防災組織 防災体制の強化については、公的な防災関係機関による体制整備が必要であることはいうまでもないが、地域住民が連帯し、地域ぐるみの防災体制を確立することも重要である。 特に、大規模災害時には、電話が不通となり、道路、橋りょう等は損壊し、電気、ガス、水道等のラ...