平成22年版 消防白書

[石油コンビナート災害対策の課題]

1 石油コンビナートにおける災害対策の推進

(1)特定事業所における防災体制の充実強化

ここ数年増加傾向にあった特別防災区域の特定事業所における火災、漏洩等の事故は、平成19年をピークに平成20年、平成21年と続けて減少したが、未だ多くの事故が発生している。これらの状況を踏まえ、今後も引き続き特定事業所における事故防止体制と災害応急体制の充実強化に取り組むとともに、特定事業所の防災体制の現状を把握し、適切な指導、助言等を行っていく必要がある。
また、異常現象の通報については、時間を要しているものが多く、被害の拡大につながることが懸念されることから、消防庁では、平成22年度に「異常現象発生時における通報の迅速化に係る検討会」を開催し、通報の迅速化方策について検討を行っている。

(2)大容量泡放射システムの効果的な活用

大容量泡放射システムについては、広域共同防災組織等において同システムを用いた防災訓練が実施されている。同システムの災害時における実効性を高めるために、今後も引き続き、広域共同防災組織等における取扱訓練や放水訓練等の実施及び特定事業者と道府県を中心とした関係防災機関等が一体となった防災訓練の実施を促進するとともに、同システムを広域共同防災組織等で相互活用する場合の協力連携体制の確立が必要である。

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