平成22年版 消防白書

2 我が国への津波の到達及び避難等の状況

(1)津波の状況

気象庁は、平成22年2月28日9時33分、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県に津波警報(大津波)、その他の太平洋沿岸全域などに津波警報(津波)、北海道日本海沿岸南部、オホーツク海沿岸等に津波注意報を発表した。特に津波警報(大津波)の発表は、平成5年(1993年)7月の北海道南西沖地震で発生した津波以来、17年ぶりのことであった。我が国へは地震発生から約21時間後の同日夕刻に津波が到達し、翌3月1日10時15分までには津波警報及び津波注意報ともに全て解除された。日本沿岸の観測点では最高128cmの津波が観測されたほか、気象庁の調査によると、津波の痕跡からその高さが1.9mと推定される地点もあった。

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(2)被害の状況

この津波では、人的被害は発生していないが、宮城県、静岡県で床上浸水6棟、床下浸水51棟の住家被害が発生した。

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(3)避難の状況

気象庁が発表した津波警報(大津波)及び津波警報(津波)を受け、全国26都道県193市町村で避難指示・避難勧告が発令された。これらの市町村が避難所等で避難を確認した人数の状況は次のとおりであった。

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なお、これらの人数は、いずれも市町村が避難所等において把握することができた人数である。
また、消防庁と内閣府が共同で、津波警報(大津波)が発表された青森県、岩手県、宮城県の36市町村において避難指示または避難勧告が発令された地域の住民5,000名に対してアンケート調査(回収数2,007票)を実施した結果、回答者のうち4割弱の人が高台等の安全な場所に避難していた。

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