平成23年版 消防白書

10 製品火災対策の推進

近年の火災の出火原因は極めて多様化しており、その中で自動車等、電気用品及び燃焼機器など、国民の日常生活において身近な製品が発火源となる火災が発生していることから、消費者の安心・安全の確保が強く求められており、消防庁では製品火災対策の取組を強化している。
これら火災について消防庁では、消防機関の特性を活かして火災情報を網羅的に収集する体制を確立し、発火源となった製品の種類ごとに火災件数を集計して、製造事業者名と製品名などを四半期毎に公表することにより、国民への注意喚起の迅速化と効率化を図っている。
平成22年中(平成22年1月~12月)に発生した自動車等、電気用品及び燃焼機器を発火源とする火災のうち、「製品の不具合により発生したと判断される火災」及び「原因を特定できない火災」の区分により、消防機関から報告されたものについて製品情報を集計したところ、「製品の不具合により発生したと判断される火災」が161件、「原因を特定できない火災」が651件であった。直近の3年間においては、製品区分に依らず、総じて製品火災の発生件数は減少傾向にあることが分かった(第1-1-38表)。

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調査結果については、全国の消防機関に通知するとともに、収集した火災情報を消費者庁、経済産業省及び国土交通省と共有し、連携して製品火災対策を推進することとしている。また、製品火災対策の一環として、平成23年度において、製品火災に係る情報及び火災調査結果に関して消防機関と独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)との連携を強化し、情報共有を通じた有効活用を図った。
消防庁消防研究センターにおいては、消防機関が行う火災原因調査について専門的な技術支援を行っており、製品火災の調査に対しても鑑識用の資機材等を整備するなど、消防庁としての原因調査体制の充実・強化に努めている。
今後とも、消防庁では、製品火災に係る情報収集・活用を積極的に推進し、関係機関との連携を図りつつ、消費者の安全・安心を確保し、製品に起因する火災事故の防止を推進することとしている。

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