平成23年版 消防白書

4 出火原因

平成22年中の総出火件数4万6,620件のうち、失火による火災は3万415件(全体の65.2%)であり、失火の多くは火気の取扱いの不注意や不始末から発生している(第1-1-20図)。

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また、出火原因別にみると、放火が5,612件で最も多く、次いでこんろが4,694件、たばこが4,475件の順となっている(第1-1-21図)。

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(1) 「放火」による火災が14年連続して第1位

放火による出火件数は、平成15年以降おおむね減少傾向が続いており、平成22年中の放火による出火件数は5,612件で、前年(6,615件)に比べ1,003件(15.2%)減少しているものの、全火災(4万6620件)の12.0%を占め、14年連続して出火原因の第1位となっている。これに放火の疑いを加えると9,551件(全火災の20.5%、対前年度比14.8%減)となる(第1-1-11表、第1-1-21図、第1-1-22図)。

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放火による損害額は40億3,165万円で、これに放火の疑いを加えた損害額は78億1,127万円となる(第1-1-11表)。
次に、放火及び放火の疑いによる火災を発火源別にみると、ライターによるものが3,319件(全体の34.8%)と最も多くなっている(第1-1-11表)。
また、放火及び放火の疑いによる火災1件あたりの損害額を時間帯別にみると、午前6時~午前8時の時間帯で損害額が特に多くなっている(第1-1-23図、附属資料II-18)。

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(2) 「こんろ」による火災の63.3%は消し忘れによるもの

平成22年中のこんろによる火災は4,694件で、全火災(4万6,620件)の10.1%を占めている。こんろの種類別では、ガスこんろによる火災が最も多く4,248件(90.5%)で、こんろによる火災の大半を占めている。こんろによる火災の主な経過別出火件数をみると、63.3%に当たる2,970件が消し忘れによるものである(第1-1-12表、第1-1-21図)。

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(3) 「たばこ」による火災の57.3%は、不適当な場所への放置によるもの

平成22年中のたばこによる火災は4,475件で、全火災(4万6,620件)の9.6%を占めている(第1-1-13表、第1-1-21図)。

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たばこによる火災の主な経過別出火状況をみると、不適当な場所への放置によるものが2,565件(57.3%)であり、半数以上を占めている。たばこが原因の火災による損害額は、60億6,375万円となっている(第1-1-13表、第1-1-19図)。

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(4) 着火物は前年と同様「枯草」が第1位

平成22年中の全火災の着火物別出火件数は枯草が5,437件と全体の11.7%を占め、最も多くなっている(第1-1-14表)。

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