平成23年版 消防白書

1 火災

危険物施設における平成22年中の火災事故の発生件数は平成元年以降火災事故が最も少なかった平成5年(1993年)と比較すると、危険物施設数は減少しているにもかかわらず、約1.7倍となっている。火災の主な要因として、危険物施設における維持管理不十分、操作確認不十分等の人的要因を挙げることができる。

(1) 危険物施設における火災事故発生件数と被害

平成22年中の危険物施設における火災事故の発生件数は179件(対前年比17件増)、損害額は5.56億円(対前年比4.45億円減)、死者は1人(対前年比1人減)、負傷者は66人(対前年比4人増)となっている(第1-2-2図)。

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また、危険物施設別の火災事故発生状況をみると、一般取扱所、給油取扱所及び製造所での火災が全体の96.1%を占めている(第1-2-3図)。

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火災事故179件のうち103件(全体の57.5%)は、危険物が出火原因物質となっている(第1-2-4図)。

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(2) 火災の発生原因の約6割は人的要因

平成22年中に発生した危険物施設における火災事故の発生原因については、人的要因が58.1%、物的要因が25.1%、その他の要因が5.6%となっている(第1-2-5図)。

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また、着火原因をみると、静電気火花が最も多く、次いで高温表面熱(高温の機器等の表面に危険物が接触すること)、溶接・溶断等火花の順となっている(第1-2-6図)。

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(3) 無許可施設における火災事故

危険物施設として許可を受けるべき施設であるにもかかわらず、危険物施設として許可を受けていないもの(以下「無許可施設」という。)における平成22年中の火災事故の発生件数は5件(対前年比2件減)であり、死者はなく、負傷者は4人(前年同数)となっている。

(4) 危険物運搬中の火災事故

平成22年中の危険物運搬中の火災事故の発生件数は5件(対前年比2件増)で、死者はなく、負傷者は2人(対前年比1人増)となっている。

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