[石油コンビナート災害対策の課題]
1 石油コンビナートにおける災害対策の推進
(1) 東日本大震災を踏まえた石油コンビナートの地震・津波対策
東日本大震災により、石油コンビナート等特別防災区域内においても火災等の災害や特定防災施設等に被害が生じたことから、消防庁では、検討会を開催し、東日本大震災を踏まえた石油コンビナートの地震・津波対策について検討を行っている(詳細は、第I部第4章第7節参照)。
(2) 特定事業所における防災体制の充実強化
特別防災区域の特定事業所における火災、漏洩等の事故は、平成18年以降平成21年を除き200件を超える状況が続いている。この状況を踏まえ、今後も引き続き特定事業所における事故防止体制と災害応急体制の充実強化に取り組むとともに、特定事業所の防災体制の現状を把握し、適切な指導、助言等を行っていく必要がある。
また、異常現象の通報については、時間を要しているものが多く、被害の拡大につながることが懸念されることから、平成22年度に行った検討結果を踏まえ、通報の迅速化について特定事業者をはじめとする関係者へ指導や助言を行っていく必要がある。
(3) 大容量泡放射システムの効果的な活用
大容量泡放射システムについては、広域共同防災組織等において同システムを用いた防災訓練が実施されている。同システムの災害時における実効性を高めるために、今後も引き続き、広域共同防災組織等における取扱訓練や放水訓練等の実施及び特定事業者と道府県を中心とした関係防災機関等が一体となった防災訓練の実施を促進するとともに、同システムを広域共同防災組織等で相互活用する場合の協力連携体制の確立が必要である。
また、東日本大震災において、初めて大容量泡放射システムが運用されたが、計画よりも輸送に時間を要したことなど課題があったことから、同システムの有効な活用の方策について検討を行っている(詳細は、第I部第4章第7節参照)。