3 避難体制の整備、災害時要援護者対策
昨今の風水害では、65歳以上の高齢者が多く犠牲となっている。高齢者や障がい者など、災害時に避難等の行動を行う際に支援を要する災害時要援護者に対する支援体制の整備が重要である。
(1) 災害時要援護者の避難誘導体制の整備
政府としては、平成20年4月に中央防災会議で報告された「自然災害における『犠牲者ゼロ』を目指すための総合プラン」において、平成21年度までを目途に、「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」(平成17年3月策定、平成18年3月改訂)等を参考に、市町村において災害時要援護者の避難支援の取組方針等(全体計画)*3が策定されるよう促進してきた。
*3 全体計画:各市区町村が地域の実情を踏まえ、要援護者対策の基本的な方針、要援護者の対象範囲、要援護者についての情報収集・共有の方法など、災害時要援護者対策の取組方針を明らかにしたもの。市町村では「全体計画」「マニュアル」「手引き」「行動指針」などと称している。
消防庁では、平成21年度、内閣府等関係府省庁と連携し、全体計画が策定されていない市町村の割合が高い都道府県において、平成21年7月から11月にかけて、内閣府、消防庁、各都道府県の共催による市町村担当者との意見交換会の開催や、同年11月から平成22年3月にかけて、学識経験者等よりなる「災害時要援護者の避難対策に関する検討会」を開催するなどして、先進的な全国の88の取組を掲載した「災害時要援護者の避難対策の事例集」(平成22年3月公表)(参照URL:http://www.fdma.go.jp/html/new/youengosya_hinantaisaku/index.html)を作成・公表している。
(2) 避難路・避難所の周知徹底及び安全確保等
災害時において住民等が迅速かつ的確な避難を行うため、避難所及び避難路をあらかじめ指定し、地域住民等に周知徹底しておくとともに、安全性の確保を図る必要がある。
平成23年9月の台風第12号では、避難した先で被災した事例や、指定避難所が浸水する事例が生じ、安全な避難先の確保が課題となった。
消防庁では、市町村に対して、住民が円滑かつ安全に避難できるよう、洪水・高潮や土砂災害に対するハザードマップの配布等により、平常時から避難路・避難所を地域住民に周知徹底するとともに、局地的大雨や集中豪雨による中小河川の氾濫、内水による浸水、土砂災害等の発生など、近年の豪雨災害等の特性を踏まえた避難路・避難所の安全性の確保、移送手段の確保及び交通孤立時の対応についても配慮することや、避難所の確保が難しい場合には、他の公共施設等を一時避難所として確保するよう配慮することを要請している。