第5節 風水害対策
[風水害の現況と最近の動向]
(1) 平成22年中の主な災害
平成22年6月中旬から7月中旬にかけて、梅雨前線は九州から本州付近に停滞し、断続的に活動が活発となった。九州から東北地方にかけての広い範囲で大雨となり、局地的に時間雨量が80ミリを越える猛烈な雨となり、浸水被害や土砂災害により大きな被害がもたらされた(第1-5-1表)。

平成22年中の風水害による人的被害、住家被害は、死者・行方不明者31人(前年76人)、負傷者248人(同288人)、全壊66棟(同246棟)、半壊591棟(同1,324棟)、一部破損1,545棟(同5,029棟)等となっている(第1-5-1図)。

また、平成22年中に発生した台風の数は14個と平年の25.6個(昭和56年から平成22年までの30年間平均)と比較すると少なく、日本列島への上陸数も2個であった。
(2) 平成23年1月から9月までの主な災害
7月28日から30日にかけて、前線が朝鮮半島から北陸地方を通って関東の東に停滞し、前線に向かって非常に湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定となり、新潟県と福島県を中心に大雨となった。
この大雨に伴う人的被害、住家被害は、死者・行方不明者6人、負傷者13人、全壊53棟、半壊931棟、一部破損50棟等となっている(第1-5-2表、平成23年9月8日現在)。

また、8月25日にマリアナ諸島の西の海上で発生した台風第12号は、発達しながらゆっくりとした速さで北上し9月3日に高知県東部に上陸し、四国地方、中国地方を縦断、日本海に進んだ。動きが遅かったため、台風周辺の非常に湿った空気が長時間流れ込み、西日本から北日本にかけて、山沿いを中心に広い範囲で記録的な大雨となった。
このため、土砂災害、浸水、河川の氾濫等により、北海道から四国にかけての広い範囲で床上床下浸水などの住家被害等が発生した。特に紀伊半島では、8月30日17時の降り始めからの総降水量が、多い所で1,800ミリを超えた。
この台風に伴う人的被害、住家被害は、死者・行方不明者94人、負傷者105人、全壊371棟、半壊2,907棟、一部破損242棟等となっている。特に、三重県、奈良県、和歌山県の3県では死者68名、行方不明者16名となった。(第1-5-2表、平成23年11月2日現在)。
さらに、9月13日15時に日本の南海上で発生した台風第15号は、南大東島の西海上を反時計回りに円を描くようにゆっくり動き、速度を速めつつ四国の南海上から紀伊半島に接近した後、同月21日14時頃に静岡県浜松市付近に上陸し、強い勢力を保ったまま東海地方から関東地方、そして東北地方を北東に進んだ。南大東島の西海上にしばらく留まり、湿った空気が長時間にわたって本州に流れ込んだことと、上陸後も強い勢力を保ちながら北東に進んだことにより、西日本から北日本にかけての広い範囲で、暴風や記録的な大雨となった。
この台風に伴う人的被害、住家被害は、死者・行方不明者18人、負傷者339人、全壊13棟、半壊287棟、一部破損1,895棟等となっている(第1-5-2表、平成23年11月2日現在)。