平成23年版 消防白書

[原子力災害対策の現況]

1 原子力施設等の防災対策

原子力防災対策は、従来から災害対策基本法に基づいて、国、地方公共団体等において防災計画を定める等の措置が講じられていたが、JCOウラン加工施設における臨界事故等の教訓を踏まえ、平成11年(1999年)12月に原子力災害対策特別措置法(以下「原災法」という。)の制定及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という。)の一部改正が行われる等、抜本的な法令等の整備が行われるとともに、関係府省が一体となった防災活動が行われるよう必要な活動要領を取りまとめた原子力災害対策マニュアルが作成された。
原子力安全委員会は、原子力災害特有の事象に着目し、原子力発電所等の周辺における防災活動をより円滑に実施できるよう技術的、専門的事項について「原子力施設等の防災対策について(以下「防災指針」という。)」として取りまとめており、防災基本計画の原子力災害対策編(次項参照)において、「専門的・技術的事項については、原子力安全委員会が定めた防災指針等を十分に尊重する」とされている。
防災指針は、国際原子力機関(IAEA)等における原子力防災に係る国際的な動向を反映させるなど数次にわたり改訂されてきており、平成22年8月には、指針の対象となる原子力施設に使用済燃料貯蔵施設を加えるなどの改訂が行われてきており、現在、福島第一原発事故の発生を受け、国際的な動向も踏まえ、見直しが行われている。

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