平成23年版 消防白書

5 消防表彰等

消防関係者等に対して、現在、国が行っている表彰等は第2-2-21表のとおりである。

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(1) 国の栄典

日本国憲法に基づく国の栄典としては、叙位、叙勲及び褒章がある。国の栄典制度については、21世紀を迎え、社会経済情勢の変化に対応したものとするため、平成14年8月の閣議決定により危険業務従事者叙勲の創設や勲等の簡素化などの見直しが行われ、平成15年秋から改正後の同制度が実施された。
○叙位 国家又は公共に対して功労のある者をその功労の程度に応じて、位に叙し、栄誉を称えるものであり、1946年(昭和21年)の閣議決定により生存者に対する運用は停止され、死亡者にのみ運用されている。
消防関係者については、消防吏員及び消防団員が対象となっており、階級と在職年数を要件とした運用基準に基づき叙されるものである。
○叙勲 国家又は公共に対して功労のある者に対して勲章を授与し、栄誉を称えるものである。
消防関係者については、消防吏員及び消防団員などが対象となっており、以下の種類に分けられる(第2-2-14表)。

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平成20年秋以降の叙勲に係る改正事項は以下のとおりである。
〔春秋叙勲について〕
・市町村合併前に消防団長の階級にあり、合併後に副団長となった場合、合併前団長歴が5年以上の者については、合併後についても団長格として扱うこと
・消防団の規模や方面隊長の階級等一定の要件を満たす方面隊の隊長については、団長格として扱うとともに、市町村合併に伴い合併した消防団に設けた方面隊については、一定期間特例を設け、小規模な方面隊であっても隊長を団長格として扱うこと
〔危険業務従事者叙勲について〕
・春秋叙勲の対象となっていた消防吏員のうち、消防監以下の階級の者は危険業務従事者叙勲の対象としたこと
○褒章 自己の危難を顧みず人命救助に尽力した者、業務に精励し衆民の模範である者、公衆の利益を興し成績著明である者や公同の事務に尽力した者、その他公益の為私財を寄附した者等に対して褒章を授与して栄誉を称えるものである。
消防関係者については、消防団員及び婦人(女性)防火クラブ役員などが対象となっており、以下の種類に分けられる(第2-2-15表)。

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(2) 内閣総理大臣表彰

閣議了解に基づき実施されるもので、消防関係では安全功労者表彰と防災功労者表彰がある。総務大臣表彰受賞者及び消防庁長官が行う防災功労者表彰等の受賞者のうち、特に功労が顕著な個人又は団体について内閣総理大臣が表彰する(第2-2-16表)。

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(3) 総務大臣表彰

安全思想の普及徹底又は安全水準の向上のため、各種安全運動、安全のための研究、もしくは教育又は災害の発生の防止もしくは被害軽減に尽力し、又は貢献した個人又は団体などについて総務大臣が表彰する(第2-2-17表)。

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(4) 消防庁長官表彰

消防表彰規程に基づき、消防業務に従事し、その功績等が顕著な消防職員、消防団員等に対し消防庁長官が表彰する。その表彰の種類により定例表彰と随時表彰に大別される。

ア 定例表彰

3月7日の消防記念日にちなみ、毎年3月上旬に実施されるもので、その種類と対象は以下のとおりである(第2-2-18表)。

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イ 随時表彰

災害現場等における人命救助など、現場功労を対象に事案発生の都度、実施されるもので、その種類と対象は以下のとおりである(第2-2-19表)。

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ウ 「消防職団員への感謝の集い」

東日本大震災の被災地において自らも被災者であるにもかかわらず救出・救助等災害活動に尽力した地元消防機関をはじめ、全国から駆け付けた緊急消防援助隊等の消防関係者と、平成23年2月に発生したニュージーランド南島地震において現地に派遣され献身的に救助・救出活動を行った国際消防救助隊隊員等に対して感謝の意を表すために、11月9日に、「消防職団員への感謝の集い」が盛大に執り行われた。

(5) 賞じゅつ金

災害に際し、危険な状況下であるにもかかわらず身の危険を顧みず敢然と職務を遂行して傷害を受け、そのために死亡又は障害を負った消防職員、消防団員、都道府県航空消防隊職員又は消防庁職員に対し、消防庁長官表彰(特別功労章、顕功章または功績章)の授与とあわせて支給される。

(6) 退職消防団員報償

永年勤続した消防団員の功労に報いるため、退職消防団員報償規程に基づき、その勤続年数に応じて消防庁長官から賞状と銀杯が授与される。

(7) 消防庁長官感謝状

消防の発展に貢献し、その功績顕著な部外の個人又は団体に対しては、消防庁長官感謝状授与内規に基づき消防庁長官感謝状が授与される。

(8) その他

消防関係の各分野において功労のあった者に対し消防庁長官が表彰するものは次のとおりである(第2-2-20表)。

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