平成23年版 消防白書

第6節 航空消防防災体制

1 航空消防防災体制の現況

消防機関及び都道府県が保有する消防防災ヘリコプターは、救急搬送や救助、林野火災等に日ごろから大きな成果を上げている。特に、地震等大規模な災害が発生し、ビルの倒壊や道路の陥没等により陸上交通が途絶したり、津波や港湾施設の損壊等により海上交通も途絶するような事態では、ヘリコプターの高速性、機動性を活用し、消防防災活動で大きな役割を担うことができるものと期待されている。
先般の東日本大震災では、全国各地の消防防災ヘリコプターが地震発生直後から出動し、早期に情報収集活動を実施したほか、津波により孤立した被災者の救出や人員・物資の輸送等で活躍し、消防防災ヘリコプターの特長を大いに発揮したところである。
また、消防庁は、消防防災ヘリコプターの円滑な運航・整備を推進するため、国庫補助金の活用による資機材の充実等の支援を行っている。
平成23年9月1日現在の消防防災ヘリコプターの保有状況は、消防庁保有が2機、消防機関保有が30機、道県保有が38機の計70機となっており、県内にヘリコプターの配備がない未配備県域は、佐賀県及び沖縄県の2県域である(第2-6-1図)。

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消防防災ヘリコプターは、消防活動に幅広く活用されており、平成22年中の出動実績は7,207件、その内訳は、救急出動3,938件、救助出動1,959件、火災出動1,141件、その他の出動169件となっている(第2-6-2図、第2-6-3図)。

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また、消防防災ヘリコプターの総運航時間は18,565時間で、内訳は災害出動が5,781時間(31.1%)、訓練出動が10,332時間(55.7%)、その他の業務が2,452時間(13.2%)となっている(第2-6-4図)。

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なお、大規模災害時には、昭和61年5月に定められた「大規模特殊災害時における広域航空消防応援実施要綱」に基づき、都道府県域を超えた応援活動が展開されており、平成22年中は、16件の広域航空消防応援が実施された(第2-7-1表)。

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