平成23年版 消防白書

3 防災訓練の実施

大規模災害時に迅速に初動体制を確立し、的確な応急対策をとることは、被害を最小限に軽減するために重要であり、そのためには日頃から実戦的な対応力を身につけておく必要がある。中央防災会議で決定された総合防災訓練大綱では、国は各地域で実施される防災訓練を積極的に支援することとされており、訓練方法については、努めて実際の判断・行動を伴う方式による実動訓練や図上訓練等を実施するよう推進している。
このため、消防庁では、平成20年度から22年度までの3カ年で地方公共団体における実践的で効果的な風水害図上型防災訓練の実施要領のあり方に関して調査研究を実施し、その成果として、地方公共団体(主に市区町村)自らが風水害を想定した図上型防災訓練を実施する場合の「支援マニュアル」を策定した。このマニュアルは近年の豪雨の発生回数の増加や被害規模の拡大に伴い、その必要性を認識し策定したものであり、市区町村自らが図上型防災訓練の企画から実施、評価・検証まで行うもので、市区町村の防災関係部局及び市区町村職員のみならず、都道府県さらには関係防災機関でも活用できるものとなっている。
なお、地方公共団体にこのマニュアルを普及するための事業として、平成23年度は、全国各地で行われる都道府県、市町村の防災部局担当者等の研修の機会をとらえ、このマニュアルを活用した実践的な図上型防災訓練の普及・実施に取り組んでいる。
平成22年度においては、都道府県主催で延べ360回の防災訓練が実施されたほか、市区町村においても延べ6,014回の防災訓練が実施された。訓練に際しての災害想定は、都道府県、市町村共に地震・津波に対応するものが多く、訓練形態は地域住民等の参加を得た総合(実働)訓練が最も多い。

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