平成23年版 消防白書

2 PFOSを含有する泡消火薬剤の排出抑制について

泡消火設備は、駐車場や危険物施設等において用いられている消火設備である。しかしながら、一部の泡消火薬剤に用いられている有機フッ素化合物の一種であるペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS*6)又はその塩が、難分解性、生物蓄積性、毒性及び長距離移動性を有する残留有機汚染物質から人の健康及び環境を保護することを目的とした「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」において、製造及び使用等が制限されることとなった。

*6 PFOS:ペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸)(Perfluorooctane sulfonic acid)の略称。ストックホルム条約において、難分解性、生物蓄積性、毒性及び長距離移動性を有する残留性有機汚染物質として、規制対象に指定された。ピーフォスとよむ。

これを受け、我が国においても、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」等が改正され、その製造、輸入等が禁止されるとともに、業として泡消火薬剤等を取扱う際には、厳格な管理や保管容器への表示等の義務が課されることとなった。
消防庁としては、関連省庁やメーカー団体等と連携し、上記法令の周知徹底を図るとともに、平成22年9月に泡消火設備の点検基準を見直し、PFOSを含有する泡消火薬剤を使用している場合においては、泡放射によらない方法により点検を実施することを認める等の排出抑制を推進するための対策を講じたところである。

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