第6章 消防防災の科学技術の研究・開発
[研究・開発の推進]
この度の東日本大震災による未曾有の大災害をはじめとする、災害の大規模化・複雑多様化に伴い、その予防・防止、被害の軽減、原因の究明等に関する科学技術の研究開発が果たす役割はますます重要になっている。
これまで、消防庁においては「消防防災科学技術高度化戦略プラン(平成19年2月策定)」に基づき、消防防災科学技術の推進に努めてきたところであるが、総合科学技術会議が策定する「第4期科学技術基本計画」(平成23年8月19日閣議決定)には、今般の東日本大震災の発生を受けて、「震災からの復興、再生の実現」が新たに基本方針として盛り込まれ、当該計画との整合性や、科学技術の動向、消防ニーズ等を踏まえて、より効果的な研究・開発を計画的かつ効率的に推進するため、同プランを改訂する準備を進めている。
消防庁における消防の科学技術の研究・開発は、我が国唯一の消防防災に関する国立研究機関である消防研究センターが中心となって実施している。消防研究センターの前身である消防研究所は、昭和23年に国家消防庁の内局として設立されたが、平成13年4月1日、中央省庁等改革の一環として、独立行政法人消防研究所となった。その後、危機管理機能の強化及び行政の効率的実施の観点から、消防庁に統合・吸収する方針が決定(平成16年12月24日閣議決定)され、「独立行政法人消防研究所の解散に関する法律」(平成18年法律第22号)に基づき、平成18年4月1日に廃止、現在の消防研究センターとして消防庁に戻り、現在に至っている。この間一貫して、消防行政及び消防職団員の活動を科学技術の面から支えることを目的とした研究・開発を行ってきた。
一方、消防庁においては、平成15年度から、消防防災分野を対象とする競争的研究資金制度である「消防防災科学技術研究推進制度」を創設するとともに、消防法令の技術基準の整備に直結する研究等を直接実施している。
また、消防防災の科学技術に関する研究・開発等については、消防機関の研究部門等においても、消防防災活動や防火安全対策等を実施する上で生じた課題を解決する手段として、積極的に実施されている。