2 被災地域の消防機関等の活動
(1) 署所の移転等
双葉地方広域市町村圏組合消防本部(以下「双葉消防本部」という。)は、避難指示等により消防本部や消防署から退去を余儀なくされ、3月12日に避難指示区域外の2つの出張所に人員や車両を移転した。また、相馬地方広域市町村圏組合消防本部(以下「相馬消防本部」という。)及び郡山消防本部においても、それぞれ1分署の存する場所が避難指示区域等になったことから、相馬消防本部は3月14日に、郡山消防本部は3月12日に、それぞれ1分署を移転した。
(2) 避難指示後の活動
3月11日以降、避難指示による住民の避難において、双葉消防本部、相馬消防本部及び郡山消防本部(以下、本節において「現地消防本部」という。)は、住民の避難誘導や広報活動を行った。
多数の住民が避難してきた郡山市においては、郡山消防本部が、福島県緊急被ばく用活動マニュアルに定める基準以上の汚染があった者について、3月12日及び13日に24件82人の搬送を行うとともに、3月12日以降、避難者の受入時のスクリーニング*1を保健所と連携して約29,000人に実施した。
*1 スクリーニング:原子力災害の際に放射性物質による汚染や、これに伴う医学的検査を必要とする事態が生じた場合は、救護所において、国の緊急被ばく医療派遣チームの協力を得て、身体表面に放射性物質が付着しているもののふるい分けを実施すること
このほか、現地消防本部、県内消防本部及び緊急消防援助隊は、3月17日から4月20日まで、福島第一原発から20km~30kmの地域の病院や老人介護施設等の入院患者等の搬送を実施した。
また、福島第一原発及び福島第二原発周辺の消防団は、避難指示後、現地消防本部と連携して管内の住民へ避難指示を周知伝達するとともに、避難誘導や広報活動等にあたった。
(3) 福島第一・第二原発に係る活動
管内に福島第一原発及び福島第二原発が所在する双葉消防本部は、3月13日及び14日に原子炉冷却に係る淡水の搬送等を実施したほか、同月16日の福島第一原発4号機火災、4月12日の同原発南側放水口付近にあるサンプリング建屋の火災、5月27日の福島第二原発1号機リアクター付属棟地下1階高圧電源設備室内の火災に出動した。
また、5月31日の福島第一原発専用港内海面への油の流出の確認及び6月8日の福島第二原発の3・4号機放水口付近の油の流出の確認に出動した。
さらに、双葉消防本部は、11月1日までに、福島第一原発で作業中に体調不良等になった者の救急搬送を29件実施している。
(4) 警戒区域内への一時立入の支援
警戒区域設定以降に実施されている警戒区域内への住民の一時立入に際して、現地消防本部は立入の車両に同行するとともに、福島県内の各消防本部の活動支援を受け、体調不良になった者等の救急搬送等を実施した。平成23年10月末現在も、一時立入に対応した警戒活動等を実施している。