第10節 福島原子力発電所事故に対する活動
1 緊急消防援助隊の活動等
福島第一原発3号機使用済燃料プールの放水活動について、内閣総理大臣から東京都知事への派遣要請及び総務大臣から各市長への派遣要請を受け、消防庁長官から東京消防庁、大阪市消防局、横浜市消防局、川崎市消防局、名古屋市消防局、京都市消防局及び神戸市消防局に出動を要請し、134隊655人が緊急消防援助隊として出動した。
Jビレッジに設置された現地調整所における自衛隊等関係機関との調整を踏まえ、3月19日から、福島第一原発3号機の使用済燃料プールに対し、東京消防庁は海水利用型消防水利システムと屈折放水塔車を用いて海水放水を実施した。その後、東京消防庁及び大阪市消防局、横浜市消防局、川崎市消防局が、順次海水放水のため福島第一原発に出動し、3月25日までに合計5回の放水(放水実績合計約4,227t)を実施した。

この間、発煙により福島第一原発から引揚げとなることもあった。また、名古屋市消防局、京都市消防局及び神戸市消防局は、放水に備え活動拠点で待機した。
3月末までに、1号機から4号機までの使用済燃料プールに対して、コンクリートポンプ車等により淡水が注水される体制となったことを踏まえ、首都圏の大都市の消防本部がそれぞれの消防本部で待機する即応体制を確保したうえで、4月2日に福島第一原発における放水活動のための緊急消防援助隊は現地から引き揚げた。
このほか、消防庁長官からの要請を受け、新潟市消防局及び浜松市消防局の2隊9人が緊急消防援助隊として出動し、Jビレッジにおいて、東京電力(株)に対し大型除染システムを貸与するとともに、その職員に対し設置・運転方法等の指導を実施した(第3-10-1表)。

なお、緊急消防援助隊による放水活動に係る連絡調整を行うため、消防庁は、Jビレッジに、3月18日から4月2日まで消防庁職員を派遣した。
また、東京消防庁は、3月18日から21日まで、福島第一原発で活動する消防職員の健康管理を行うため、救急専門医を派遣した。その後、その他複数の消防本部における福島第一原発での活動が行われることを受け、消防庁から3月21日から4月1日まで救急専門医を、3月23日から4月2日まで診療放射線技師を派遣した。当該救急専門医等は、福島第一原発で活動する消防職員の健康管理等を実施したほか、放射線の被ばくを受けた福島第一原発の作業員に対する除染の指示を行った。
他方、3月13日から3月15日にかけて、消防庁から消防ポンプ自動車の貸与について各消防本部に対して協力要請し、郡山地方広域消防組合消防本部(以下「郡山消防本部」という。)2台、いわき市消防本部1台、須賀川地方広域消防本部1台、米沢市消防本部1台、会津若松地方広域市町村圏整備組合消防本部1台、宇都宮市消防本部2台、さいたま市消防局2台及び新潟市消防局2台の消防ポンプ自動車を東京電力(株)に貸与し、また、3月22日、東京消防庁に協力要請し、消防ポンプ自動車1台を東京電力(株)に貸与した。
また、消防庁は、緊急消防援助隊の航空部隊が使用する簡易防護服や防護マスクが不足したことから、関係機関と調整のうえ確保し、必要数を提供するとともに、3月17日、放射線測定機器等の緊急調達を行い配備した。