2 消防力の確実かつ迅速な被災地への投入
東日本大震災においては、大きな影響は避けられたものの、大規模な地震においては、被災地へのアクセス道路が相当程度寸断される事態が大いに懸念される。特に、東海地震、東南海・南海地震の同時発生といういわゆる三連動地震や首都直下地震等も念頭に、こうした事態に備え、空路、海路をより機動的に用いた被災地への消防力の投入を早急に検討する必要がある。
このため、消防防災ヘリコプターの整備促進を図るとともに、自衛隊等関係機関との連携も進めながら、航空力を活用して車両、資機材等を搬送するため、技術面、運用面にわたって検討を行う。また、フェリー、民間航空機などの活用についても、より機動的効果的なものとなるよう、検討を進める。さらに、例えば、空路等により被災地に入った応援消防職員が備蓄資機材等を用いて応援活動を行えるようにするなど、被災地への消防車両等のアクセスが困難な場合においても、消防力の確実な投入が可能となるよう検討を進める。
他方、被災地へのより迅速な消防力の投入のためには、情報の収集・共有機能の強化が不可欠であり、ヘリコプター等による情報収集、応援車両・ヘリコプターの動態管理、消防救急無線のデジタル化等による通信基盤の充実強化などを推進していく。
さらに、広範囲に甚大な被害が発生した場合も想定して出動計画を見直すほか、今回の震災において見受けられた分割出動や先遣隊の先発出動等の手法の活用、地元消防体制を維持しながら必要とされる部隊を派遣する計画作りなど、より確実かつ迅速に被災地へ到達するための取組について、都道府県単位で積極的な検討がなされるよう、その取組を促進していく必要がある。