3.雪害対策の課題
雪害による人的被害の発生を防ぐためには、防災知識の普及啓発等を進めるとともに、次のような対策の推進が求められている。
(1) 除雪作業における対策
近年の雪害では、高齢者が亡くなるケースや、屋根の雪下ろし等の除雪作業中に亡くなるケースが目立っている。
このようなことを踏まえ、積雪時においては、複数人での除雪作業実施、携帯電話の携行、命綱・ヘルメットの着用、はしごの固定等の実践的な留意点について注意喚起を行うことや、特に高齢者等の災害時要援護者宅の状況を消防機関や福祉関係機関との連携による巡回等により把握し、除雪が困難又は危険な場合などについては、必要に応じ消防機関、自主防災組織、近隣居住者等との連携協力の下、複数名による除雪作業を行うことなど適切に対応することが必要である。
地方公共団体においては、県内応援等広域的な雪処理の担い手の確保も含めたスキームの整理(新潟県)や、除雪ボランティア登録制度の実施等、除雪の担い手確保の取組が実施されている。
(2) 雪崩等に対する適切な避難勧告等の発令・伝達
降積雪の状況等の情報、過去の雪害事例等を勘案し、雪崩、家屋の倒壊等により、住民の生命・身体に被害が及ぶおそれがあると判断したときは、遅滞なく避難の勧告・指示を行う必要がある。なお、あらかじめ、関係機関と協議し、地形、降積雪の状況、過去の雪害事例等を勘案して、雪崩危険箇所等の把握に努め、関係機関をはじめ周辺住民に周知しておくことが重要である。
また、避難勧告等の伝達については、防災行政無線の活用や消防機関、自主防災組織を通じた伝達など、効果的かつ確実な伝達手段を複合的に活用し、対象地域の住民に迅速かつ的確に伝達する必要がある。
(3) 避難体制
避難路、避難所、避難誘導方法等を定め、住民に周知しておくとともに、雪害の特性を踏まえた安全性を確保する必要がある。
また、高齢者・障害者等の災害時要援護者については、消防団、自主防災組織、近隣居住者等との連携・協力の下、迅速な避難誘導に努める必要がある。
(4) 防災体制の確立
災害が発生した場合には、関係機関とも連携し、消防機関の県内相互応援及び緊急消防援助隊の活用等、地方公共団体相互の広域的な応援活動により迅速な救助活動等に万全を期す必要がある。
また、自衛隊の災害派遣要請については、事前に所要の手続や要件等を関係機関等との間で確認しておき、関係法令及び地域防災計画等を踏まえ、的確に行えるようにする必要がある。