はじめに
昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して、まもなく65年を迎えようとしています。この間、我が国の消防は、関係者の努力の積み重ねにより着実に発展し、国民の安心・安全確保に大きな役割を果たしてきました。
しかしながら、平成23年3月に発生した東日本大震災は、これまでに経験したことのない大地震と巨大津波により、各地に甚大な被害をもたらしました。
東日本大震災における被害や活動状況等を踏まえ、今後発生が懸念されている首都直下地震や南海トラフ巨大地震等の大規模地震等に備えた、更なる消防防災体制の強化が喫緊の課題となっています。
また、今年は、竜巻や豪雨による災害に加え、ホテル火災や石油コンビナートの火災、トンネル内の爆発事故など、様々な災害が全国各地で発生しました。
このような複雑多様化する災害を踏まえ、火災や危険物事故等に対する安全対策の推進などに取り組む必要があります。
平成24年版消防白書では、第I部において、東日本大震災を踏まえた課題への対応として、地震・津波対策の推進と地域防災力の強化、消防職員の初動活動及び消防職団員の安全対策、緊急消防援助隊の効果的な運用・施設整備、民間事業者における地震・津波対策、原子力災害への対応、震災を踏まえた研究開発等について記載しています。
また、第II部においては、雑居ビル等における防火・防災管理体制の強化等を内容とする消防法の一部改正、火災や風水害をはじめとする各種災害の現況と課題、市町村の消防の広域化を含む消防防災の組織と活動、国民保護への取組、自主的な防火防災活動と災害に強い地域づくり、国際的課題への対応、消防防災の科学技術の研究・開発等について記載しています。
これらを踏まえ、この白書が国民の生命、身体及び財産を災害から守る消防防災活動において、国民の皆様の認識と理解を深めるとともに、国、地方公共団体だけではなく住民、企業も含めた総合的な消防防災体制の確立に広く活用いただけることを願います。
平成24年12月