平成26年版 消防白書

2.東京電力福島第一原子力発電所事故への対応

平成23年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所事故の発生以降、原子力災害対策特別措置法に基づく原子力災害対策本部長の指示により、当該原子力発電所の周辺地域において避難指示区域の設定が行われている。

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当該区域を管轄する双葉地方広域市町村圏組合消防本部(以下「双葉消防本部」という。)、相馬地方広域市町村圏消防本部及び伊達地方消防組合消防本部では、放射性物質による汚染、地震等による消防施設や水利の被災等の厳しい条件の下、消防活動を継続して行っている。
双葉消防本部は、現在も一部の署所を除き、避難指示区域外の署所に人員や車両を移転している。
避難指示区域の管轄消防本部は、当該区域内の防火対策のための定期的な巡回の実施、火災の早期発見のための監視カメラの設置、さらに簡易型防火水槽の整備、高性能水中ポンプの導入といった、必要な消防施設の整備を行っている。
また、避難指示区域においては、火災の早期発見、除草や枝木の伐採等の面でも制約があることから、大規模な火災が発生した場合の備えとして、平成23年11月に福島県内の消防本部による応援体制が確立されるとともに、平成24年3月には原子力災害現地対策本部及び福島県災害対策本部による緊急対策が取りまとめられ、関係機関の連携が強化されている。
消防庁では、仮庁舎等の整備に係る財政支援を行うとともに、平成25年度からは「原子力災害避難指示区域消防活動費交付金」により、避難指示区域の管轄消防本部において必要な消防施設の整備や消防応援活動に要した経費等の財政支援を行っている。
また、双葉消防本部においては、避難指示区域の見直しにより人の出入りが増加することによる出火危険が懸念されている中、職員数も減少していることから、平成25年4月から同年9月まで、県内消防本部を含む全国22の消防本部から消防職員を派遣し(福島支援全国消防派遣隊)、双葉消防本部管内の火災警戒等の消防活動の支援を行った。
さらに、同年9月には「双葉消防本部支援調整会議」を設置し、双葉消防本部における消防活動上の課題を継続的に把握するとともに、双葉消防本部への支援等について必要な検討・調整を行っている。

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