平成26年版 消防白書

3.防災訓練の実施

大規模災害時に迅速に初動体制を確立し、的確な応急対策をとることは、被害を最小限に軽減するために重要であり、そのためには日ごろから実戦的な対応力を身につけておく必要がある。中央防災会議で決定された総合防災訓練大綱では、国は各地域で実施される防災訓練を積極的に支援することとされており、訓練方法については、人・物等を動かす実動訓練、状況付与に基づいて参加者に判断を行わせる図上訓練等、実際の判断・行動を伴う方式により実施することとされている。
消防庁では、平成22年度に、地方公共団体(主に市区町村)自らが風水害を想定した実践的で効果的な図上型防災訓練を実施する場合の「支援マニュアル」を策定している。このマニュアルは近年の豪雨の発生回数の増加や被害規模の拡大に伴い、その必要性を認識し策定したものであり、市区町村自らが図上型防災訓練の企画?から実施、評価・検証まで行うことを支援するもので、市区町村の防災関係部局及び市区町村職員のみならず、都道府県さらには関係防災機関でも活用できるものとなっている。
また、平成25年度には、全国で実施される防災訓練の底上げを図ることを目的として「実践的な防災訓練の普及に向けた事例調査報告書」を作成している。この報告書は、様々な防災訓練の取組事例や特徴的な訓練の事例を取り上げて、地方公共団体等でより実践的な防災訓練を企画・準備する際に参考となる取組を紹介している。
さらに、平成26年度には、平成26年3月に実施した都道府県における図上訓練の実施状況アンケート調査をもとに、都道府県において効果的に図上訓練を実施する上でのポイントを「訓練企画」、「災害想定」、「訓練形態」、「知事の訓練参加」、「危機管理・防災担当部局以外の職員の訓練参加」、「関係機関の訓練参加」、「評価・検証結果のマニュアル等への反映」の別にとりまとめ、先進的な自治体の取組事例とともに紹介している。
平成25年度においては、都道府県主催で延べ463回の防災訓練が実施されたほか、市区町村においても延べ6,450回の防災訓練が実施された。訓練に際しての災害想定は、都道府県、市町村ともに地震・津波に対応するものが多く、訓練形態は総合(実動)訓練が最も多い(第2-9-1表)。

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