平成26年版 消防白書

3.消防庁等の役割

(1) 消防庁の役割

消防庁は、消防組織法及び国民保護法により、国と地方公共団体が相互に連携する上で重要な役割を担うこととされており、特に武力攻撃等に起因する災害に対処するため、自然災害等の場合よりも地方公共団体に多くの関与を行うこととされている。
消防庁は、指定行政機関の一つとして消防庁国民保護計画等を策定しており、具体的にはこれらに基づき、国民に対する情報の提供、救援の支援、国民保護の重要性の啓発、国民保護訓練等を行うこととなる。その主なものを挙げると以下のとおりである。
<1> 内閣総理大臣が行った国民保護対策本部を設置すべき都道府県及び市町村の指定等の都道府県知事及び市町村長への通知
<2> 対策本部長による警報の発令の通知及び避難措置の指示の内容の都道府県知事への通知
<3> 県境を超える避難に際し、必要と認める場合の関係都道府県知事への勧告
<4> 都道府県知事から報告を受けた安否情報について、照会に応じ情報提供
<5> 武力攻撃災害を防除するための消防に関する措置及び消防の応援等の必要な措置に関する、都道府県知事又は市町村長への指示
<6> 自ら収集し、又は都道府県知事等から報告を受けた被災情報の対策本部長への報告
<7> 都道府県知事からの求めに応じ、国や他の地方公共団体の職員の派遣について、あっせんを実施
<8> 国民保護法に基づく地方公共団体の事務に関し、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の連絡調整

(2) 地方公共団体と消防の役割

地方公共団体は、いざというときに迅速に国民保護措置が実施できるように、国民保護計画の作成や、夜間・休日等を問わずに起こる事案に的確に対応可能な24時間の即応体制等の必要な組織の整備及び訓練の実施等が求められているほか、武力攻撃事態等及び緊急対処事態の際には、国民保護措置の多くを実施する責務を有している。
前述のとおり、武力攻撃事態等及び緊急対処事態においては、都道府県は、警報の市町村への通知、住民に対する避難の指示、都道府県の区域を超える住民の避難に関する措置、救援に関する措置、安否情報の提供、緊急通報の発令等を行うこととされている。
また、市町村は、警報や避難の指示の住民への伝達、避難住民の誘導、安否情報の収集等、直接住民と接する役割を担うこととされており、日ごろから消防団や自主防災組織、警察等との連携・協力関係を構築しておくことが重要である。
特に、消防は、国民の生命、身体及び財産を武力攻撃による火災から保護し、武力攻撃災害を防除及び軽減しなければならないことが国民保護法にも規定されており、他の災害等の場合と同様に消火や救助及び救急の活動等を行うこととなる。また、国民保護法では、消防長及び消防団長は市町村長の指揮の下に避難住民を誘導することも定められており、市町村の国民保護計画にしたがって、避難、救援、武力攻撃災害の防御等のそれぞれの局面において、重要な役割を担うこととなる。

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