平成27年版 消防白書

5.その他の教育訓練

(1) 救急救命士の養成

救急救命士養成のための教育訓練については、救急隊員が救急救命士の国家試験受験資格を取得するための養成所として、一般財団法人救急振興財団が救急救命東京研修所(年間600人規模)及び救急救命九州研修所(同200人規模)を開設している。
また、大都市の消防機関等でも救急救命士養成所を設置しており、平成26年度には、合わせて全国で約1,200人の消防職員が救急救命士の資格取得のための教育を受け、国家試験を受験した。
これらの救急救命士養成所では、「救急救命士学校養成所指定規則」(平成3年文部省・厚生省令第2号)に基づき、教育が行われている。

(2) 指導救命士の養成

救急救命士法の施行から20年以上が経過し、他の救急救命士を指導する人材の醸成が図られてきたことを背景に、救急現場という病院内と異なった環境で行う現場活動に関する教育を経験豊富な救急救命士が行うことで、救急業務の質の向上と国民からの信頼の確保につながるほか、消防本部や医療機関の教育負担軽減に資するという考えから、指導的立場の救急救命士(指導救命士)に求められる役割は高まっている。
平成25年度に消防庁が開催した「救急業務のあり方に関する検討会」において、指導救命士の要件及びその養成に必要な教育カリキュラムを示したことから、平成26年5月から救急救命九州研修所が、同年9月から消防庁消防大学校救急科が、指導救命士として認定を受けるために必要な教育を開始した。
さらに、消防庁では指導救命士の更なる養成の促進と全国的な運用に向けて、カリキュラムをより具体的な教育内容へと展開した全国統一の基準となる「指導救命士の養成に係るテキスト」を平成27年11月に作成した。

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