2.派遣体制
「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」に基づき、海外における大規模災害発生時に、被災国政府等からの要請に応じて我が国が実施する国際緊急援助の概要と救助チーム等の派遣の流れは、第5-1図及び第5-2図のとおりである。


消防庁は、外務省からの派遣協力に関する協議に基づき、消防庁職員に国際緊急援助活動を行わせるとともに、消防機関に対し、その職員に国際緊急援助活動を行わせるよう要請することができることとなっている。
このため、あらかじめ77消防本部に所属する救助隊員599人(平成27年4月1日現在)を消防庁に国際消防救助隊員として登録し、派遣に備えた準備体制を整備している。
消防庁では、登録された国際消防救助隊員に対して、海外被災地での活動において必要とされる知識、技術(手法)の共有及びチームビルディング(連携)の向上を図るため、平成23年度に全国3会場(大阪会場、福岡会場、東京会場)で、「国際消防救助隊の実戦的訓練」を実施した。
平成24年度からは、平成23年度に実施した上記訓練を踏まえて、各登録消防本部の訓練の普及啓発を図るため、国際消防救助隊員の教育訓練のうち、近隣消防本部等と「国際消防救助隊の連携訓練」を実施する消防本部に対し、資機材を貸与するなどの支援を行っている。
また、救助活動に関する国際的な能力評価(IEC*1)を踏まえ、海外での救助活動を行う上で国際消防救助隊員が身に付けておくべき知識、技術を教育し、また、登録隊員が一丸となった即応体制の強化を図るため、国際消防救助隊に登録している77消防本部を対象に国際緊急援助隊の体制や派遣時の留意事項等に関する研修等を中心とした「国際消防救助隊セミナー」を実施している。
さらに、平成27年度は、国際緊急援助隊救助チームのIER*2での知識及び技術の伝達を図るため、消防から選出されている3人の国際緊急援助隊救助チーム技術検討員と国際消防救助隊指導員(東京消防庁及び各政令指定都市から各1人選出)を対象として、国際消防救助隊指導員会議を開催した(第5-1表)。

*1 IEC:INSARAG(国際捜索・救助諮問グループ)による救助能力の評価制度で、外国での災害救助に派遣される各国の救助チームの活動を調整し、円滑な連携を図るための参考となるもの。具体的には、各国救助チームの能力(チーム体制、訓練体制、携行資機材のレベル、隊員の活動能力等)に応じてMedium(ミディアム)・Heavy(ヘビー)の評価がなされる。日本の国際緊急援助隊救助チームは、平成22年3月にHeavy(ヘビー)の評価を初めて受けた。
*2 IER:INSARAG外部再評価。INSARAGでは、IECの評価有効期間を5年と定めており、評価を更新するためには再受検する必要がある。日本の国際緊急援助隊救助チームは、平成27年3月に受検しHeavy(ヘビー)の再評価を受けた。